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ノルディック複合で金メダルを狙う!
渡部暁斗は荻原健司を越えるか。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShino Seki
posted2013/01/04 08:01
12月23日の全日本コンバインド大会では3連覇を達成。今季課題のジャンプでも「割と早く対応できている」と1月からのW杯遠征に向け、手応えを感じていた。
持ち前の探究心で改善のポイントを着実に見つけ出す。
そしてもう一つ、渡部自身の取り組みも見逃すわけにはいかない。
もともと日本代表ヘッドコーチの河野孝典氏が「もっとも質問してくる選手」というほど探究心が強く、細かな技術に磨きをかけてきた。小さなつまずきはあっても、着実にステップアップしてきたのは、その競技へのこだわりにある。
大学卒業後は北野建設に進んだが、同社には竹内択らジャンプの日本代表選手や日本代表ヘッドコーチを務める横川朝治氏がいる。彼らと練習し、助走、踏み切りなどの新しい技術を学ぶことで、どちらかと言えば不得意なジャンプでも成長。昨シーズンの好成績を生んだ。
今シーズンは、昨年行なわれたワールドカップ5戦中4戦で10位以内に入るなど安定感は見せているが、最高順位は6位。昨シーズンを考えれば物足りない成績にとどまっている。ただし、原因は明確だ。開幕前に2度、ジャンプスーツのルールが変わり、その対応に追われるなどしたため、ジャンプの調子が上がっていないのだ。時間はかかっても、こつこつと積み上げる選手だけに、やがて改善のポイントをつかむことができるはずだ。
世界選手権へ、そしてその先に見据えるソチ五輪へ。
トリノ、バンクーバー五輪でメダルなしに終わったスキー競技のエース格として、渡部に寄せられる期待は大きい。