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<箱根5区、ポスト柏原を探せ> 三度、「山の神」は現れるのか。
text by
NumberDo編集部Number Do
photograph byHitoshi Mochizuki(AJPS)
posted2012/12/20 06:01
新旧“山の神”を比較して浮かび上がった、柏原の強さ。
ここで目を引くのは今井と柏原の陰で目立たないものの、3位の早大・駒野亮太が出した記録が非常に高いレベルにあったということだ。酒井監督も「駒野のタイムが“人間”が出せる上限かもしれません(笑)。今年の東洋大では20分~21分で走れたら100点満点だと思っていますからね」と言う。
そして「表2」で新旧の“山の神”の記録を比較したときに、浮かび上がってくるのは柏原の圧倒的なまでの強さだ。
柏原竜二 | 今井正人 | |||
記録 | 追い抜いた選手数 | 記録 | 追い抜いた選手数 | |
1年 | 1時間17分18秒◎ | 8人 | 1時間10分10秒【2区】 | (5人) |
2年 | 1時間17分08秒◎ | 6人 | 1時間09分12秒◎ 【距離変更前】 |
11人 |
3年 | 1時間17分53秒 | 2人 | 1時間18分30秒◎ | 5人 |
4年 | 1時間16分39秒◎ | 0人(計16人) | 1時間18分05秒◎ | 4人(計20人) |
確かに今井は5区を走った3年間で、柏原の4年間を上回る20人の選手を追い抜いており、中継画面から伝わってくるインパクトは強烈だった。特に2年時は距離変更前で現在より短い20.9kmだったにもかかわらず、5区史上最多となる11人抜きを達成している。
だが、柏原は1年時に“元祖”の区間記録を破ると、その記録を2回更新。そして「調子が悪くても17分台でまとめたのは凄い」と酒井監督が振り返るように、シーズンを通して不調だった3年時でさえ、今井の記録を上回る走りを見せているのだ。記録の面では完全に“元祖”を凌駕したといっていい。
4年連続で5区を走った金哲彦さんが「キツい」と語る、箱根の上り。
現在の区間記録である1時間16分39秒は1km平均に換算すると約3分17秒。自身も早大時代に4年連続で5区を走ったプロランニングコーチの金哲彦さんも「驚愕のタイムです」というが、その凄さを一般の市民ランナーとの比較で解説してもらった。
「フルマラソンを3時間30分、1kmを5分で走りきれる人は市民ランナーのなかではレベルが高いほうですが、5区の上りではそのペースを5km維持するのも難しい。まして3分20秒となると1km走れるかすらわからない。それくらい箱根の上りはキツイんです」