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「こんなに楽しい試合は久しぶり」
惨敗のブラジル戦で本田が見た風景。  

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2012/10/17 13:00

「こんなに楽しい試合は久しぶり」惨敗のブラジル戦で本田が見た風景。 <Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

前半8分の本田のシュートなど、日本にも良いシーンがあった。シュート数の比較だとブラジル14本に対して日本10本。ブラジル代表のマノ・メネゼス監督は「日本は技術があり進歩を続けている。今日は戦術がうまくいってゴールを決められた」とコメントした。

ブラジルの試合巧者ぶりを見せつけられたサムライ達。

 本田の決定機から4分後だった。

 日本は内田篤人のクリアからボールを奪われ、ボランチのパウリーニョにミドルレンジからグラウンダーのシュートを決められてしまう。それもトーキックで。

 序盤の決定機をモノに出来なかった日本と、モノに出来たブラジル。ここが勝負の大きな分岐点になったのかもしれない。

 ブラジルはボランチのラミレスが最終ラインに入るなどして、日本のプレスを混乱させてボールを獲られないように対処していく。先制点を取ってからは無理せずカウンター狙いに徹する試合巧者ぶりで、日本は前半25分にカウンターから今野がハンドを取られて2点目を失った。そして後半早々には初めて与えたコーナーキックから日本の弱点である「高さ」を突かれて3失点目。これで勝負は決まった。完璧なチーム内の意思統一によって臨機応変に主導権を取り戻し、質の高いプレーでゴールに結びつけてしまうブラジルの実力をまざまざと見せつけられた。

香川が気づいた、ブラジルと日本との大きな差とは?

 3失点してから混乱の色が強くなってしまった日本の後半の戦い方は正直いただけない。しかしながらザックジャパンの持ち味を出すことを心掛け、ゴールが奪えそうなところまで迫ったことも事実だ。対世界の戦いを確立させるためには、完全に引いた戦い方で対峙したところで意味がない。積み上げてきた戦い方をぶつけたうえで大敗したのだから、それはそれで意義ある敗北なのではないだろうか。そのなかで選手たちが何を感じたか、何を得たか、が重要になってくるように思う。

 チャンスをつくりながらも得点に結びつけられなかった香川は唇をかむ。

「(日本の攻撃のとき)彼らは結構ルーズにやらせてくれるんですけど、でも最後のところでは強さを感じた。こっちは逆に最後のところで詰まった感じがあった。そこでの精度が求められると思う」

【次ページ】 攻守共に「最後」が弱い日本と、「最後」が強いブラジル。

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