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CSに強い“安打製造機”内川聖一。
常勝ソフトバンクでの意識変革とは? 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2012/10/10 12:25

CSに強い“安打製造機”内川聖一。常勝ソフトバンクでの意識変革とは?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2008年の横浜時代にセ・リーグの最多安打を記録していた内川が、今季はパ・リーグでも同じ記録を獲得。「(今シーズンは)いい状態じゃなかったので、タイトルが取れるとは思わなかった」とコメント。

 レギュラーシーズンが終わってみれば、内川聖一はやっぱり内川聖一だった。

 シーズン序盤は打率3割台をキープしていたものの、交流戦では1割9分8厘と絶不調。一時は、2割5分台まで打率を落とした。

 それでも、7月に入ると打率を伸ばし始め、8月は右手薬指を剥離骨折しながらも4割とハイアベレージをマーク。9月も3割8分6厘と好調を維持し、最終的にしっかりと3割に乗せたところはさすがだった。

 157安打はリーグトップ。右打者としては、落合博満、中島裕之に次ぐ史上3人目の5年連続3割を記録するなど、内川はヒットメーカーとして役割を十分に果たした。

 しかし、チームは3位。リーグ3連覇を逃したことから、個人の結果を素直に喜べていない様子を時折見せていた。

「序盤にもっと打っておけば」

「前半戦はチームに迷惑をかけた」

 このように忸怩たる思いを自らにぶつけていたくらいだ。ポストシーズンでの雪辱に燃えるのも無理はない。

「もう1回、ここ(福岡ヤフードーム)でやれるよう頑張りたい。日本一という目標があるんで」

 レギュラーシーズン最終戦を終え、内川はそう、クライマックスシリーズ(以下CS)へ向け気持ちを切り替えた。

昨年のファイナルステージでも証明された、CSでの内川の強さ。

 とはいえ彼は、打者ではチームで最も安定した成績を残している。最初の相手となる西武はもちろん、CSを通じてもキープレーヤーとしての働きを期待されるのは間違いない。

 内川はCSに強い。

 それを証明してみせたのが、昨年の西武とのファイナルステージだった。

 自身初出場となったこの舞台で、内川は初戦と第2戦で先制タイムリーを放つなど、3試合で11打数5安打3打点、打率4割5分5厘をマーク。MVPを獲得した。

 トータルでも結果を残した内川だが、なかでも彼のすごさを物語っていた打席がある。初戦の先制打となる3回の第2打席だ。

【次ページ】 どんな状況にも合わせられる変幻自在のバッティング。

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