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東海大甲府、一躍優勝候補へ名乗り!
強打の名門校を抑えたエース神原友。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2012/08/17 19:30
9回のピンチの場面なども含め、結局一人で投げ抜いた東海大甲府のエース神原。「サードのファインプレーなど守備に助けられ、最後まで投げることができた」と試合後に全員野球をアピールした。
龍谷大平安の直球狙いを、東海大甲府が逆手にとった。
東海大甲府の捕手・石井の回想。
「龍谷大平安は振ってくるチームという印象だったので、1打席目は様子を見ることも含めて、変化球でいこうと思っていました。(その変化球を)振ってくるかどうかで、ストレートを狙っているかどうかも分かりますから。見逃されてもいいと思って、序盤は変化球にしました。(相手は)振ったので、うまくかわせたと思います」
龍谷大平安の久保田が「ストレートしか狙っていなかった」といえば、高橋も「もっとストレートで来ると思った。想定外でした」と振り返った。
試合序盤から東海大甲府バッテリーが、打ちはやる心の龍谷大平安打線を見事に制していた。
バッテリーの思惑通りの展開で、試合の要所をピシャリと抑える。
3回表に東海大甲府が1番・渡辺諒、3番・山本瞬による2本の長打で1点を先制。
4回裏に、龍谷大平安打線は2巡目を迎えたが、1番の井沢、2番の梅田が連続三振。3番の久保田が神原のストレートをセンター前にクリーンヒットとしたが、4番の高橋は変化球を振らされて、三振に終わった。
5回に両者が1点ずつを取り合い、東海大甲府が1点リードのまま勝負は後半へ。
6回裏、龍谷大平安は1番の井沢からで、ストレートを打ってセンター前ヒット。続く梅田が犠打で送り、1アウトで久保田と高橋を迎えるという見事なお膳立てが整った。
ここで、神原が一転して直球勝負に出る。
久保田は2球目を打って、セカンドフライ。
高橋は初球のストレートに詰まり、ショートゴロに終わった。
「内野フライか三振を狙いに行きました。インコースを攻めに行きました」と神原。龍谷大平安打線との2巡目の対決を経て、3巡目には抑える手ごたえをつかんでいたのだという。神原が続ける。
「振ってくるチームなので……序盤は変化球で探って、途中からストレートを使っていけば抑えられると分かった。それからは、インコースのストレートと変化球をうまく使いながら勝負していきました」
この時点で、勝負は決していたと言っていいだろう。