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八百長問題で大揺れの王者ユーベ、
コンテ監督の処分を巡り徹底抗戦。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2012/08/10 10:30
八百長問題に関して、検察側から1年3カ月の出場停止処分を求刑されたユベントスのアントニオ・コンテ監督。求刑前には「心配していない」と強気な言葉も口にしていたが、今は何を思うのか。
権力を振りかざすお上への反骨心はユーベの「お家芸」。
懲罰委員会が下すコンテへの処分期間は9~10カ月程度と予想されているが、ユーベ側が控訴するのは確実。もはや避けられない長期欠場に備え、クラブはすでに手を打った。ベンチへの携帯電話持込は禁止だが、カッレーラ代理監督のPCタブレットには、ボックス席で戦況を見届けるコンテからの指示がリアルタイムで届く。
実戦シミュレーションとなった4日のプレシーズンマッチのマラガ戦に2対0で快勝すると、シーズンへの見通しも立った。「ベンチからコンテの叫び声が聞こえてこないのには違和感がある」と言うジョビンコも、すでに攻撃陣の中心になりつつあり、臨戦態勢は整った。
ユベントスにとって協会との諍いごとは、もはや「お家芸」だといえる。“協会=お上には逆らわず”という日本的な考えとは真逆で、“無理が通れば道理が引っ込む”を地で行き、あくまで自分たちの言い分を押し通そうとする。ふりかかった火の粉は倍返しする。その精神構造こそ、強者ユベントスや欧州のビッグクラブに共通するアイデンティティなのかもしれない。
昨季のコッパ・イタリア決勝で敗れ、2冠を逃したユーベは、11日のイタリア・スーパー杯でナポリへのリベンジに挑む。名門にとって、タイトルこそ、何より自らを権威づける根拠なのだ。