ボルトの栄光も何もかも壊しかねない、恐ろしい瞬間。

　スーパースターとはどういう存在であるのかをまざまざと示した男は、「生きる伝説になりたい」と言い続けてきた。北京五輪に続き、100mを制し、200mに2冠をかけることになる。

　実は恐るべきハプニングもあった。

「セット(＝用意)」とスターターが告げた瞬間、ペットボトルがおそらくはボルトに向けて投げ込まれたのだ。

　幸い、ボルトも「気づかなかった」と言うように、後方にペットボトルは落ちて、レースに影響は出なかった。

　投げ込んだ男はただちに逮捕された。

　その後に展開されたボルトら選手の力走も、ウイニングランも観客の歓声も、何もかもが壊されかねない、恐ろしい瞬間だった。