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石川佳純は強くなって帰ってくる……。
ロンドンで捉えた中国卓球界の背中。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2012/08/02 11:15
試合後、石川は涙をこぼさぬよう上を向きながら、「(ラリーでは)自分がミスをするまで返された。向こうは焦りもなかった」と敗因を説明した。
8月1日。長く、それでも楽しい一日だった。
朝、女子バレーの日本対ドミニカ戦から取材をはじめ(ミドルブロッカーである大友愛が攻撃面で「ジョーカー」になれるかがこれからの勝負)、約1時間かけて卓球会場に移動、石川佳純の3位決定戦を見て、ロープウェイを使って体操の会場に駆けつけた。
いうまでもなく男子個人総合、内村航平の金メダルを目撃してから、地下鉄を使ってこれまた1時間、ウィンブルドンで錦織圭がセンターコートで準々決勝進出の瞬間を見ることが出来た。
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どの競技をとっても、それなりの切り口が出てくるが、今回は石川佳純を取り上げたい。
3位決定戦で、フェン・ティアンウェイ(シンガポール)に敗れた石川は、
「まだまだ――ということですね」
と報道陣に話したが、初戦の逆転勝ち、準々決勝ではワン・ユエグ(シンガポール/オーバーウェイト気味のなかなかのキャラクター)をゲームカウント4対1で破るなど、充実の内容だったと思う。
卓球がオリンピックの正式競技となったのは1988年のソウル・オリンピックからのことで、日本人選手が準決勝に進出したのは初めてのことである。この事実だけでも十分、評価に値する。特にサービスにキレのある時は、得意のパターンに持ち込むことが出来ていた。
体格で大きく上回る中国人選手の、圧倒的な存在感。
ただし、中国勢の壁は厚かった。
準決勝の李暁霞(中国)戦、3位決定戦のフェン・ティアンウェイ(シンガポール)戦については、両試合とも第1ゲームに見せ場はあったものの、最終的に流れを引き寄せられないままに試合が終わってしまった。フェンは中国の育成システムのなかで育った選手。中国強し――この判り切った現実が立ちはだかる。
それにしても体格の差は大きい。
金メダリストの李暁霞は174センチ、銀メダリストの丁寧は171センチもある。石川(158センチ)、福原愛(155センチ)らの日本選手と並ぶと上背の差は明らかで、テニス選手が卓球をやっているような印象なのだ。リーチも長く、返球は重い。
石川は準決勝、3位決定戦ともにサービスから主導権を握り、スピード、リズムで対抗しようと目論んだが、体格で上回る相手が「速さ」の面でも一枚上手だった。
では、この厚い壁をどう乗り越えればいいのだろうか?