スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
石川佳純は強くなって帰ってくる……。
ロンドンで捉えた中国卓球界の背中。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2012/08/02 11:15
試合後、石川は涙をこぼさぬよう上を向きながら、「(ラリーでは)自分がミスをするまで返された。向こうは焦りもなかった」と敗因を説明した。
卓球選手のピークが23歳から25歳までということは……。
卓球はまだ団体戦が残っているので、「お楽しみはこれから」という可能性も十分ある。しかし、その先にもっとお楽しみが待っていると思う。
石川のピークは今後、4年から6年の間にやってくるはずだからだ。
取材をすると、女子卓球選手のピークは一般的に「23歳から25歳くらいまで」というのが定説のようだ。ロンドン・オリンピックの金メダリスト、李暁霞は24歳、銀メダルの丁寧は22歳、石川が敗れたフェン・ティアンウェイは25歳だ。4強に残った選手の中で、19歳の石川はいちばん若い。
それに加えて、同世代の中国選手を破ってきた実績もある。
2010年、スロバキアのブラチスラバで行なわれた世界ジュニア選手権の団体戦、日本は中国を破って金メダルを獲得した。2003年に世界ジュニアが始まって以来、中国以外のチームが女子団体戦を制したのは初めてのことだった。快挙はすでに達成されているのだ。
今回、ロンドンで中国との距離はハッキリした。今後、予想されるのは二十歳を過ぎて、石川はより力強いプレーを見せるだろう――ということだ。身体の成長、経験、すべてがプラスになっていく。今回、逃したシングルスのメダルだって、プラスにするはずだ。
敢えて書く。
日本の卓球の未来は明るい。