やる気を見せた手嶋は自宅にクラブを送ったが……。

　セガサミーカップ最終日は、ホールインワンも記録して優勝争いに絡み、惜しくも3位だった。それでも2戦連続のトップ5入りを果たした手嶋は「やっぱり練習しないといけない。この試合でそれが分かった」と言った。

　ホールインワン賞を受け取った表彰式の10分後、クラブハウスの宅配便受付カウンターに手嶋の姿があった。次の試合までは再び1週間以上のオフになる。

「送料2020円です」

　手嶋はごそごそと小銭入れをまさぐりながら係のおばちゃんに頼んだ。

「20円負けてくれない？」

「ダメです」

　ホールインワン賞で20万円をもらった直後のしょうもないお願いはぴしゃりと断られ、手嶋は肩をすくめながら10円玉を差し出した。

　プロゴルファーが超人ばかりである必要はない。練習なんかしないでうまくいけば、これ以上いいことはないだろう。マジメに練習しろ！　と言うのは簡単だが、そんな人間味もまたスポーツの醍醐味と思える。

　手嶋の手元にあった宅急便の伝票、宛先は次の会場ではなく今回は自宅の住所が書き込まれていた。とはいえ、結局は練習しませんでした。そんなこともあるかもしれない。