コンディション回復の今野康晴は練習に打ち込む。

　もう1人、したくてもできなかった練習がようやくできるようになった選手もいる。この大会で7位に入った今野康晴だ。

　椎間板ヘルニアと首痛を併発して昨年は公傷を申請。今季序盤はさらに指のケガなども抱えていた。満身創痍の状態では練習どころではなかったが、ここにきてようやく体調が上向いてきた。

「2、3年前は練習できなくても何となく成績がよかったけど、やっぱり去年あたりは練習しないとダメだなあと思いました。今は、オープンウィークは少し打てるようになってきましたね。以前は芝の上で100球打つのも大変だったけど、今週は200球ぐらい打てたんで」

　そんな風に練習のできる喜びを笑みを浮かべて語っていた。

同年代の活躍に刺激されて「俺も練習しなきゃ」と手嶋。

　練習に対するそれぞれのスタンスとそれぞれのゴルフ人生。そして、実は手嶋も少しだけ変わり始めている。

　昨年は一向に調子が上がらずシード落ちの危機に瀕し、プロ入り直後を除けば自己最低の賞金ランク52位に終わった。周りを見渡せば、コツコツと研鑽を重ねてきた同年代の藤田寛之や谷口徹がまだまだ第一線で頑張っている。

「練習しないでたまたまうまくいってたんで、練習せんでもうまくいくっていうナメた心があったんだね。それが最近の成績に出てるんでしょう。彼らはすごく練習しますからね。俺もやらなきゃと思っても、なかなかやらないんだけど（笑）」

　いまさらの“気づき”にも思えるが、昨季終盤からは試合会場に限って練習をするようになった。

「今までは練習しないのが美学みたいなところがあったけど、もう40歳越えたから練習もしていかないと」

　とはいっても、30分ぐらいグリーンで球を転がす程度なのだが、今までの手嶋だったらとっくに宿舎に帰り着いている時間である。

【次ページ】　やる気を見せた手嶋は自宅にクラブを送ったが……。