MLB東奔西走BACK NUMBER
現役唯一のナックル投手が初球宴!
R.A.ディッキーが見せる正統なる魔球。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2012/07/07 08:02
現役メジャー投手で唯一のナックルボーラーであるR.A.ディッキー。今シーズン、前半戦ですでに自己最多となる12勝を挙げ、防御率2.15、奪三振116(7月4日現在)と、37歳にして大ブレイクしている。
7月1日、MLBから第83回オールスター戦に選出された両リーグの選手たちが発表された。
様々な選手が注目を集める中で、初選出が有力視されていた注目のダルビッシュ有投手も同5日、最終ファン投票で無事に選出された。一方、若干20歳のマイク・トラウト選手は、2カ月連続で月間最優秀新人選手に輝く勢いそのままに初選出を果たしている。
彼ら2人と同様に発表前から大きな注目を集めていた選手が、メッツのR.A.ディッキー投手だ。
ディッキーといえば現在、メジャーでたった1人となったナックルボーラーとして知られている。今回、メジャー在籍10年目、しかも37歳にしてオールスター戦に初選出されたのだ。
とはいえナックルボーラーがオールスター戦に選出されるのは、決して珍しいことではなく、つい最近でも2009年にティム・ウェイクフィールド氏(昨年限りで引退)が出場を果たしている。
現役唯一のナックルボーラーは先発に指名されるか?
今回、メディアがディッキーに大きな関心を寄せたのは、オールスター戦に選出されるということ以上に、彼がナ・リーグの先発投手に指名されるかどうかというものだった。
ご存知の方も多いと思うが、メジャーの場合、投手はオールスター戦のファン投票の対象になっていない。すべて選手投票と監督推薦で選ばれる。
しかも、毎年1試合しか行なわれない。そのため、オールスター戦の先発投手に選ばれるということは、選手の人気度に左右されることなく、シーズン前半戦を象徴するような活躍をした投手に与えられる栄誉、といっても過言ではない。
「オールスター戦の先発を務めるに値する投手はたくさんいると思う。自分にとってどの試合に投げようが、何イニング投げるかはあまり関係ない。もちろん最初のイニングからボールを預けてもらう(つまり先発するということ)のは光栄なことには違いないが」
すっかり謙遜するディッキーだが、メディアが関心を注ぐ通り、彼が先発投手の最有力候補であることは間違いない。