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ユーロ敗退はイングランドへの追い風!?
“弱いサッカーの母国”に革命を。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2012/07/08 08:01

ユーロ敗退はイングランドへの追い風!?“弱いサッカーの母国”に革命を。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ノルマであったグループリーグ突破を果たし、イタリアに屈するもポゼッションを志向した新たな方向性を示すことには成功したイングランド。真価が問われるのは2年後だ。

強豪不在のブラジルW杯予選を新システム検証の場に。

 4-4-2は、今後もグループステージで手堅くポイントを奪う手段としては有効であり続ける。チームには、スウェーデン戦で見事なヘディングを決めた、アンディ・キャロルという若きターゲットマンがいるのだから尚更だ。しかし、一辺倒での限界はイタリア戦でも明らかだった。

 9月に始まる2014年W杯予選は、今大会で下したウクライナの他、ポーランド、モンテネグロ、モルドバ、サンマリノと対戦する強敵不在のグループ。新システムを試しながらでも突破して然るべきだろう。

 但し、第2フェーズが完了したとしても、W杯での優勝は高嶺の花だ。仮に、新顔が増えた4-2-3-1の布陣で、開催国ブラジルのピッチに立ったとしても、中央のウィルシャーとトップ下のルーニーのどちらかを欠いただけで、敵への脅威は激減してしまう。続くEURO2016では、現時点で国産最高のテクニックとセンスを持つルーニーの年齢が、斜陽の30代に乗っている。

来るべき復活の時を信じて、土台からの再建に取り組む。

 だが、このような見通しも現実の一部と理解して前を向けば良い。復活のターゲットは、2018年W杯以降。国内では、後進の選手と指導者にエリート教育を施すため、協会運営のトレーニングセンターが今夏にオープンする。U-7からU-12までの年齢グループに関しては、選手がボールに触れる機会を増やすべく、小さなピッチで少人数制の試合を原則とする制度変更も決定した。来年からは、1軍戦とのレベル差が問題視されていたリザーブ(2軍)リーグが、U-21チームによるリーグ戦に置き換えられる運びだ。こうした環境改善に、現実へ目を向けたことによる危機感が加わったイングランドは、変化するために歩み出すはずだ。

 その第一歩は、来る8月15日、奇しくも、今大会で引導を渡された相手であるイタリアとの親善試合で踏み出すことになる。舞台となるスイスのスタジアムには、ウクライナの試合会場に見られた『In Roy We Trust(我々はロイを信じる)』の横断幕があることだろう。イングランドのサッカー界と国民は、代表が優勝候補に生まれ変わるための土台を築く現場監督として、5月に4年契約を結んだホジソンを信じている。失意ではなく、望みを得たEURO2012を経て、イングランドは変わり始める。今度こそ、きっと。

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