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<ロス五輪以来の表彰台を目指して> バレーボール女子日本代表 「メダルへのラストピース」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byMichi Ishijima
posted2012/07/07 08:01
発表してきた特別連載「LONDON CALLING~ロンドンが呼んでいる~」。
7月27日の開幕に向け、このシリーズを全文公開していきます!
今回は、5月に行われた世界最終予選でロンドン五輪出場権を獲得した
バレーボール女子日本代表。 チームの原動力となったのは、
昨年のワールドカップ4位に終わった悔しさだった――。
そんな「火の鳥NIPPON」のワールドカップでの奮戦を振り返った、
Number793号(2011年12月8日発売)掲載の密着レポートをお届けします。
女子バレーは、2004年アテネ、'08年北京と2大会連続で五輪に出場したが、いずれも準々決勝で敗退している。'84年のロサンゼルス五輪以来、メダルからは6大会遠ざかっており、上位チームとの間には越え難い壁があった。
そんな中、'08年12月に日本代表監督に就任した眞鍋政義は、ロンドン五輪でのメダル獲得を目標に掲げた。五輪が開催される'12年から逆算して強化し、'10年の世界選手権で、32年ぶりとなる銅メダルを獲得。五輪のメダルがより現実的になった。
'11年最大の目標は、ワールドカップで、3位以内に与えられるロンドン五輪出場権を獲ることだった。ところが日本は開幕ダッシュに失敗。第1ラウンドの3連戦で、イタリア、中国に敗れ1勝2敗のスタートとなった。
「ゲームの流れ」を共有できず、6試合終了時でまさかの7位。
そして第6戦でセルビアにストレートで敗れてしまう。サーブレシーブを崩され、サイド攻撃をブロックされる展開で、日本のコートは静まり返った。タイムアウト中も選手同士は目を合わせない。日本はこの時点で3勝3敗の7位に沈んだ。
世界ランキング2位のロシアが出場しなかった今大会、世界ランキング1位のブラジル、3位のアメリカが頭一つ抜けた存在で、それを追うのが4位の日本やイタリア、セルビア、ドイツ、中国と予想されていた。ブラジル、アメリカと戦う前に、第2グループと見られた相手に3敗し、日本のメダル獲得は極めて厳しくなった。
エースの木村沙織は、課題をこう語った。
「ここは絶対に決めなきゃいけないとか、ゲームの流れを、全員がわかっていないといけないけど、そこが足りなくて連続失点につながったりしている」
今大会は、'10年の世界選手権で全試合に出場したセンター、山本愛と井上香織を怪我で欠いた。主将でセンターの荒木絵里香の対角には、それまでセッター対角でプレーしていた山口舞や、経験の浅い21歳の岩坂名奈が起用された。荒木には、主将として、手薄になったセンターの柱として、二重の重圧がのしかかった。責任感から気負いすぎ、セルビア戦はブロック、スパイクともにキレがなく、第2セットの途中で交代となった。
「1本ミスをしててんぱって、何も見えなくなった。そんなことしてる場合じゃないのに。私がチームの流れを悪くしてしまった」
そう猛省した荒木は、もう一度魂を入れ直し、翌日の練習に臨んだ。そこには、主将と同じように、目の前の一戦一戦にすべてをかけようと腹をくくった選手たちがいた。
「みんな、もう一回やってやろう、という気持ちが出ていて、すごくいい雰囲気でした」