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バロテッリこそユーロ制覇のカギ。
新世代アズーリがイタリアを変える!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2012/06/28 10:30
EURO準々決勝のイングランド戦、11本のシュートを放つも得点をあげられなかったバロテッリだったが、PK戦では自ら最初のキッカーに名乗りをあげ、マンチェスターCで同僚のGKジョー・ハートから見事ゴールを決めた。
重圧のかかる先攻の一番手として、ゴール左隅にPKを決めると、マリオ・バロテッリは両腕を広げてキエフの空に吠えた。
PK戦に委ねられたイングランドとのEURO2012準々決勝は、終始ゲームを支配したイタリアがセミファイナルへ駒を進めた。試合後、代表監督チェーザレ・プランデッリは、前線で身体を張り続けたバロテッリの献身的プレーを労ったが、何よりPK戦で先鋒を務めた彼の強いハートを称えた。
グループリーグでは、突破のかかったアイルランド戦で見事なボレーシュートを決めている。代表きっての“問題児”だが、チームを勢いづかせるにはバロテッリのゴールが必要だった。
褐色の肌に青いユニフォームをまとうエースFWとともに、イタリア代表は目標とされていたベスト4へ到達した。
今、アズーリは新世代へ突入しつつある。
褐色のアズーリたちがイタリア代表に新風を吹き込む!
南アフリカW杯での惨敗後、代表監督に就任したプランデッリは、ファンタジスタの復権やスペイン流攻撃サッカーの導入など、この2年間でさまざまな改革を図ってきた。
とりわけ注目されたのが帰化選手の積極登用だ。
'11年11月11日、今大会ホスト国のポーランドと行った親善試合は、イタリアにとって歴史的転換点になった。ガーナ移民の子であるバロテッリが同国代表史上初めて黒人選手としてゴールを奪い、ナイジェリア人の両親を持つDFアンジェロ・オグボンナが代表デビューを果たした。
イタリア系の先祖をもつ南米出身者か両親のどちらかがイタリア系という代表選手ならこれまでにも多く存在したが、アフリカ系の両親を持つアズーリは2人が史上初のケース。
快勝したポーランド戦を伝えるイタリアの報道には、同国が誇るアパレル・ブランドをもじって“UNITED COLORS OF ITALY”の文字が躍った。