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ケンプの故障と混戦のMVP争い。
~打撃絶好調なMLBの男たち~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2012/06/02 08:01
今季は打棒復活、初のMVP獲得の期待も高まるメッツの三拍子揃ったイケメン三塁手、デヴィッド・ライト。
20代半ばの若手ふたりの急成長ぶりも見逃せない!!
注目したいのは、ふたりの若手である。
ひとりはアダム・ジョーンズ(オリオールズ、中堅手)で、もうひとりはオースティン・ジャクソン(タイガース、中堅手)。
ジョーンズは1985年8月生まれの26歳だ。もともと有望株として期待を集めていたが、今季は急激にパワーがついた。数字を並べると、.314/.365/.618。こちらはまずまずだが、16本塁打、34打点、8盗塁という数字が光る。
とくに顕著な伸びを見せたのはISO(長打率-打率)で、過去4年間の平均が.164だったのに対し、今季は.304に飛躍している。2013年終了後にはFA資格も得ることだし、しばらくは眼を離せない存在となるだろう。
一方のジャクソンも、スピードとパワーの融合が魅力だ。
こちらは1987年2月生まれの25歳。数字は、.331/.414/.544。5本塁打、17打点はジョーンズに比べるとやや寂しいが、今季は三振数が激減した。2010年=170三振、11年=181三振を記録した扇風機が、今季は36試合で29三振。本塁打数も、過去2年間で合計14本だったのが、36試合で5本(年間22本ペース)に急増している。
故障が癒えたライトはナ・リーグの首位打者有力候補。
一方のナ・リーグでは、デヴィッド・ライト(メッツ、三塁手)の好調が眼を惹く。
もともと実績のある選手だが、故障から回復した今季は、.365/.463/.565と安定した成績を残している。三振が少なく四球が多いという例年の傾向から見ても、首位打者の有力候補と考えてよいだろう。
長打力と破壊力では、故障中のケンプ以外に、カルロス・ベルトラン(カーディナルス、右翼手)、アンドレ・イーシア(ドジャース、右翼手)、といったお馴染みの選手が浮上する。
久しぶりに怪我の少ないベルトランは、15本塁打でリーグトップを走っているし、イーシアも好機に強い特性を生かして44打点(リーグトップ)を生産中だ。