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ペトロビッチ、ゴトビ、西野らの激突!!
個性派監督の“スタイル”を読み解く。 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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posted2012/05/26 08:03

ペトロビッチ、ゴトビ、西野らの激突!!個性派監督の“スタイル”を読み解く。<Number Web> photograph by AFLO

昨季は残留争いをしていた浦和を率い、上位につけるミハイロ・ペトロビッチ監督。広島の躍進も彼の遺した物の大きさを物語っている。

監督のサッカー哲学はピッチ上でどう表現されるのか。

 急速な組織化とともに進化する現代サッカーは、圧倒的な個の力だけで勝てるほど簡単ではない。クリスティアーノ・ロナウドもリオネル・メッシも、チームメイトに活かされ、監督が掲げる“スタイル”に活かされて初めて、あれだけのゴールを量産することができる。時折独善的に見えるC・ロナウドがチームメイトから非難されないのは、本人を含めて、誰もが「チームあってのアイツ」であることを理解しているからだろう。そうした意識をチームに浸透させているのが、モウリーニョである。

 それが守備的であれ攻撃的であれ、指揮官がチームに落とし込む“スタイル”の完成度はチームの結果に直結する。逆の見方をすれば、“スタイル”がはっきりしないチームは結果も出ない。

 では、果たしてJリーグのクラブ、特に日本人監督にオリジナリティーに富んだ“スタイル”はあるのか。その強すぎる個性のあまり、選手よりもスポットライトを浴びてしまう監督はいるか。

 川崎フロンターレの風間八宏監督とヴィッセル神戸の西野朗監督の誕生に、その期待を寄せてしまうのである。個人的には特に、後者の新たな挑戦が楽しみでならない。

神戸の監督に就任した西野朗の新“スタイル”に期待。

 少し前の話だが、2月末、テレビ東京系のサッカー番組『FOOT×BRAIN』の収録に立ち会った。この日のテーマは「監督論」。ゲストとして登壇したのは、ピッチを離れて間もない西野朗だった。

 その時も西野は、先日行なわれた就任会見と同じ言葉を口にしていた。

「ピッチにいない自分が、これだけ苦痛を感じるということがよく分かりましたね。自由ほど苦痛なものはないなと」

 ガンバ大阪で過ごした10年間についてはこう振り返る。

「僕はクラブの方針と僕自身の思いが合致する形で10年やらせてもらいましたけど、もちろん、チームにとって“代謝”は、ものすごく必要なことだと思っているんですよ。ただ、継続することで生まれる力もある。だから、こういう監督が一人くらいいてもいいんじゃないかと思いながら、僕自身としては毎年新しいことにチャレンジしてきたつもりです。それでも、『マンネリがある』とか『チームを変えなきゃいけない』とか、そういう批判もありました。だから自分がチームにい続けていいのかという葛藤もかなりあったんですが、監督が簡単に替えられてしまう風潮の中で、僕は継続する力を示したかった」

 10年間で“リーグ3位以内”を逃したのは、たったの2度。Jリーグとナビスコ杯を1度ずつ、天皇杯を2度、さらに2008年にはACLを制して「継続する力」を十分に示した。「攻撃的なパスサッカー」というキーワードは、西野がチームに植え付けた“スタイル”である。

 果たして彼は、一から作り直す新たな舞台でどんな“スタイル”を見せてくれるのか。その先に日本代表の椅子を見据える西野にとって、今回の挑戦が大きな意味を持つことは間違いない。もちろん性に合わない舌戦を期待するわけではないが、選手を差し置いてスポットライトを浴びるような、そんな新しい“西野スタイル”を構築してもらいたい。

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