球道雑記BACK NUMBER
西村監督は自身の胴上げを予想済み!?
V字回復を遂げたロッテに死角なし。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/05/19 08:01
「(交流戦については)去年は負け越していますから。ひとつひとつ、今までの形でやっていきたい」と淡々と語っていた西村徳文監督。
今年は開幕から雨の日が多い。
インターネットで東京都の過去の天気を調べたところ、5月は15日の時点で5日間が雨マークがついていた。4月は2日間しか雨マークが付いていなかったが、4月24~26日の東京地方は3日間全て雨模様だったと記憶しているから小雨、通り雨なども含めたら折りたたみ傘を必要としない日はない。一足早く梅雨時期が来てしまった、そんな感じだ。
そんな気まぐれ天気に振り回され、自身の開幕がすっかり後まわしになったベテランがふたりいる。千葉ロッテの渡辺俊介と小野晋吾だ。
千葉ロッテの開幕1週目の先発は成瀬善久、唐川侑己、藤岡貴裕、グライシンガー、ペンの5人の順で予定されていたが、渡辺も当初は先発6番手として1週間遅れの開幕を控えていた。
しかし、初登板の予定だった4月12日のゲーム(対オリックス戦)が前日の雨天中止にともない、ペンのスライド登板に変更になると、翌週の東北楽天戦も17日の第1戦が雨天中止になり、グライシンガーのスライド登板で渡辺の初登板はまたしても後回しになるかと囁かれた。
雨天で3度も中断した試合でも集中力を保ち続けた渡辺俊介。
しかし、ここはさすがの西村監督も渡辺の精神面を気遣った。
開幕からこの日まで15イニング連続無失点だったグライシンガーの登板をひとつ飛ばすことで渡辺の先発を用意。リーグ開幕から3週間にしてようやく渡辺は自身の開幕を迎えることが出来た。
この間の西村監督の対応も実に堂々としていた。
報道陣から連日のように渡辺、小野の初登板について質問が飛んでも「今はルーキーが頑張っていますが、小野、渡辺……彼らベテランに頼らなければならないときがきっときますから」と、しっかりフォローを入れて焦るそぶりを微塵も見せなかった。
その言葉通り、渡辺は一軍に昇格すると5月に入って2連勝。5月9日の北海道日本ハム戦(QVCマリン)では雨による3度の試合中断に悩まされながら、それこそ雨に鍛えられた精神力で集中を切らさず、雨天コールドになった5回まで1失点に抑える好投を見せた。