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<ナンバーW杯傑作選/'93年11月掲載> 「テクニックで強さを制しての勝利」 ~宿敵韓国を破りアジアの盟主へ!~
text by
後藤健生Takeo Goto
photograph bySports Graphic Number
posted2010/05/10 10:30
アジアサッカー界のリーダー交代を意味した1勝。
かつて、日本は30年以上にわたって韓国に苦しめられてきた。なにしろ、日本は1984年秋以来、韓国を破っていないのだ。
この1勝は、もちろんアメリカ・ワールドカップ進出への貴重な1勝でもあるが、そればかりではなく、日本サッカーが韓国を超え、そしてアジアのサッカー界のリーダーの地位を交替させた、まさに歴史的1勝だった。
かつての強かった韓国も、'86年、'90年と2回ワールドカップ本大会に出てヨーロッパ、南米の代表と6試合戦ったものの、'86年メキシコ大会でブルガリアと引き分けただけで、1分5敗と世界の壁に撥ね返された。
アジアのサッカーは、相手の良さを消すことや相手の弱点をつく駆け引きばかりを考えた消極的な試合が多かった。その中で、よりクリエイティブ(創造的)なサッカーを目指すという面で、日本のサッカーはすでにアジアを超えている。アジアで世界に通用する可能性が最も大きいのも日本だ。韓国が、2回挑戦して超えることのできなかった世界の壁を、日本なら超えられるかもしれない。
しかし、日本は世界への挑戦の前に、まず中東の強豪イラクを破らねばならない。いよいよ、3日後に予選は最終戦を迎える。