黄金世代、夢の行方BACK NUMBER
“ボランチ”に賭ける小笠原満男。
人事を尽くしてW杯を待つ!
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byToshiya Kondo
posted2010/04/30 10:30
岡田ジャパンの“サプライズ”としての予想もある小笠原。岡田監督の「彼(小笠原)は簡単に呼んだり外したりする選手ではない」という言葉を信じたい
理屈抜きで「そこにいたい」。それだけの価値がある。
だが、ゴールはいいアピールになる。本大会ではFWはマークされ、ゴールを決めるのはより困難になる。そのため、2列目、3列目の選手にゴールが期待される。守備も重要だが、ゴールに優る評価はない。
「じゃ、今からFWやって5点取ったら代表に入れるってもんじゃないでしょ。もう焦っても仕方ないんでね。中盤の選手でコンディション崩している選手もいるし、誰かが怪我してしまうかもしない。いろんな可能性があるし、自分が入る可能性もゼロじゃない。23名の正メンバーに入れたら、それに越したことはないけど、バックアップメンバーでもW杯に行けるなら力になりたいと思っている。それに2002年の中山さんのようなことができるかどうか分からないけど、今回、行くならベテランとしてそういうこともやってみたいと思ってる。やっぱり、W杯はお金を払ってでも行きたいっすから。それだけ価値のあるものだから。チケットを買って行こうかなって思うぐらいだよ」
小笠原は、苦笑しながら、そう言った。
やはり、W杯を知る選手にとってW杯は、理性や感情では表現できないほど、「そこにいたい」と、思うところなのだ。
残り2試合でベストを尽くし、5月10日の発表を待つ。
5月10日のメンバー発表まで、鹿島の公式戦は残り2試合。5月1日には、代表の不動のボランチであり、黄金世代で同期の遠藤との対戦が控えている。
「ガンバとはいつも面白いゲームになるからね。ヤットも怪我から戻ってくるなら、お互いに攻め合う展開になるし、楽しみ」
表情は、淡々としているが、内心はマグマのような熱い闘志をたぎらせているに違いない。そこで、マリノス戦のように俊輔に次いで遠藤も食う活躍をすれば、代表入りの可能性も一気に高まるかもしれない。
──最後に代表の尻尾を掴むには?
「今さら新しいことはできないんで、チームでいいプレーして、結果を出すだけ。いいプレーができればW杯に行けると信じて、やるだけっすよ」
小笠原は、そう言い切った。
もう、ここまで来たらジタバタしても仕方がない。
当たり前のことを当たり前にして、その積み重ねでW杯に行くしかない。
そんな決意が表情に溢れている。80%は決まっているというメンバーだが、代表の椅子取りゲームのラストは、31歳の新人・小笠原がふさわしい。