リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサファンも絶賛するA・ビルバオ。
欧州で話題沸騰中の超攻撃サッカー。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byMutsu Kawamori
posted2012/04/04 10:30
リーガでは11位(31節終了時)に甘んじるも、ヨーロッパリーグでは快進撃を見せるA・ビルバオ。ホーム開催のEL準々決勝第2レグは4月5日に行なわれる。
ビエルサ体制下でさらに洗練された戦術コンセプト。
ビエルサの監督就任によりアスレティックのプレイスタイルが一変したことは昨年12月のコラムに書いたとおりだが、そのサッカーは完成度をどんどん増している。
自陣から敵ゴール前まで徹底的に繋いでいくという基本コンセプトが、ディフェンスラインではハビ・マルティネス、中盤ではアンデル・エレーラ、敵陣ではムニアインのリードにより、いまや無理なく遵守されている。
バックパスを効果的に使い、スペースを作って誰かを走りこませている。そして“ライオンキング”ジョレンテが時には豪快に、時には繊細なタッチをもって、ここぞというときにゴールを決めている。
これだけでアスレティックの試合は十分なエンターテインメントといえるが、ルーズボールを争うときや敵ボールを奪いに行くときに見せる戦う姿勢、諦めない姿勢がスタンドをまた盛り上げる。さらに、加減知らずで愚直にゴールを狙い続ける姿が観る者の気持ちを高ぶらせる。
「今季のヨーロッパにおける一大旋風」とグアルディオラも絶賛。
EL準々決勝シャルケ04戦の第1レグも、シャルケファン以外にとっては痺れる展開となった。
マンチェスター・ユナイテッド戦で輝いたアンデル・エレーラのプレイに恥骨炎がブレーキをかけ、前半はシャルケに押されたが、70分を過ぎたあたりでいつものアスレティックが覚醒。嵐と化して試合を飲み込み、逆転に成功した後もリスクを冒してゴールを狙い続け、アウェイゲームであるにもかかわらず最終的に4得点した。
サッカーの試合を娯楽と捉え、“いいサッカー”を大好物とするカンプノウの観客が拍手を送るのも当然だ。
対戦前夜、グアルディオラはアスレティックを「今季のヨーロッパにおける一大旋風」と評し、称賛すると同時に兜の緒を締めた。
「彼らの試合は楽しい。誠実で、常に攻めに行く。敵ゴールに7人で迫っていくのだから、本当に難しい試合になるだろう。でも、観る側にとって間違いのない一戦になるのは確かだ」