なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
「サッカー王国に勝てた!」
なでしこは金メダルに近づいたのか?
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byAsami Enomoto
posted2012/04/06 11:30
ブラジル戦では3得点に絡む活躍を見せた主将の宮間あや。試合後は、自然に宮間を中心として歓喜の輪ができた。
勝利優先の2戦だったが、チーム作りが遅れたのでは?
ブラジル戦のキックオフ前、ホームズスタジアム神戸のピッチにはカンプノウよろしく大量の水が撒かれた。4月1日のアメリカ戦では日中に雨が降ったため散水は中止となったが、当初は予定されていた。これは、ボールスピードを上げたいという佐々木監督の意向によるものだという。
もちろん“女子サッカーのバルサ”と称されるなでしこだから、当然速いピッチの方が試合を有利に運べる(ただしロンドン五輪での試合はイギリス特有の深く、粘りのあるピッチで行われるのだが……)。しかしそこまでして勝利を求めた結果、せっかく招集しながら2戦を通じて試せなかった選手が出てきてしまった。先発や準レギュラークラスはもう固まりかけているが、バックアップの役割を担う選手はまだ絞り切れていないのではないか。だとすれば6月に予定されている欧州遠征が、最後のセレクションに充てられることになってしまう。
アメリカのスンダーゲ監督は仙台での日本戦の後、
「もう選手のテストの時期は終わりました。これからはチームとしての熟成期間」
と断言した。そして彼女はチームが帰国した後も一人日本に残り、ホムスタでのキリンチャレンジ杯最終戦をスタンドからじっくり観戦している。
ブラジルとてヨーロッパのシーズンが終われば海外組も集結し、代表としてのチーム力を急ピッチで上げてくる。
オリンピックに向けたなでしこのチーム作りが、スケジュール通りに進んでいるのであればいいのだが……。