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マッサを捨て駒にしてでも優勝を獲る!
フェラーリというチームの恐ろしさ。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2012/04/03 10:30

マッサを捨て駒にしてでも優勝を獲る!フェラーリというチームの恐ろしさ。<Number Web> photograph by Getty Images

マシンで劣るとされているフェラーリにあってアロンソは、開幕の豪州GPで5位、マレーシアGPで優勝と破格の活躍。それに対してチームメイトのマッサは、開幕戦から、リタイア、15位という散々な成績。

アロンソにハイリスクなタイヤ交換をさせた舞台裏。

 特にフェラーリにおける出色の戦略だったといえるのが、ドライタイヤへスイッチした40周目のピットストップのタイミング。

 不安定な路面状況でのレースでは、先頭を走る者は先に動かずに2番手以下の様子を見るというのが鉄則とされている。ところが、フェラーリはトップ3を走行していたドライバーの中で、真っ先にアロンソをピットに呼んだのである。

 ドライタイヤへ最初に交換したのは37周目のトロ・ロッソのダニエル・リチャルドだった。ライバル勢がラップタイムを注視する中、リチャルドは上位陣より4~5秒速いペースを刻みだした。しかし、ドライへのタイヤ交換のタイミングというのはラップタイムだけでは計りきれない難しさがある。

 そこでフェラーリは、一手打つ。

 それはすでに17番手まで下がっていたチームメートのフェリペ・マッサにドライを試し履きさせることだった。

仁義なき戦略をとれることこそ、名門フェラーリの強さの由縁。

 38周目にドライに交換したマッサから入ってくるフィーリングを確認したフェラーリがアロンソにピットインの指示を送ったとき、ペレスはアロンソのテール・トゥ・ノーズにいた。最終コーナーを立ち上がってホームストレートでオーバーテイクしようとするペレス。しかし、次の瞬間、ペレスの目の前からアロンソは消えていた。ピットロードへ向かったからである。もう1周、ペレスがインターミディエイトで周回を重ねてピットインして、ドライタイヤでコースに復帰したとき、アロンソは7秒前方を走っていた。

 勝利のためなら、たとえチームメートでも捨て駒にするという仁義なき戦略を採るチーム。

 片や勝利を目の前にしながら、2位でも良しと考えるチーム。

 圧力などかけなくとも、この日のフェラーリには勝利を手にする強さがあった。

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