フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
鈴木らベテラン勢が表彰台を独占。
世界フィギュア女子、激闘の裏側。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byEnrico Calderoni/AFLO SPORT
posted2012/04/02 11:45
2010年以来となる2度目の世界選手権出場で見事銅メダルを獲得した鈴木明子。表彰台に上った後、年齢のことを問われると「何歳でも成長、進化できると信じてきた」と語った。
「すっきりしない気持ちのほうが大きいです」(浅田)
SPで2位だった村上佳菜子は、総合5位に終わった。
「フリーではフリップが両足着氷になってしまったことは、まだ仕方ない。でも2アクセルが一度も入らなかったのが、一番悔しいんです」と苦笑いをした。それでも昨年度の8位から、着実に順位を上げた。
浅田真央は、SPの3アクセルの転倒が後をひいたのか、フリーでも普段ないようなミスが重なって総合6位だった。
「今シーズンを通して、練習してきたことを試合できちんと見せることができなかった。だから終わってほっとしたというよりも、すっきりしない気持ちのほうが大きいです」
そう口にした浅田だが、それでも生気がなく見えた試合直後より、いくらか表情が柔らかくなっている。今季はいろいろな思いを乗り越えて、疲れ切っているのも無理はない。今後の練習方針などについての話は、日本に帰ってから佐藤信夫コーチとゆっくりしていく予定なのだという。
「自分がどうしたいのか、まずしっかり見極めることが大切だと思っています」
浅田はすでに世界の頂点に二度達し、経験的にもベテランである。だがその位置に甘んじることなく新しい課題を自分に課し、そのたびに悩み、苦しんできた。このニースでの表彰台に上がったベテランたちが決して諦めはしなかったように、浅田もきっとまた今度も自分の進むべき道を見つけてくるだろう。