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サッカーの試合中の悲劇をどう防ぐ?
プレミア“ムアンバの奇跡”を検証する。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/03/31 08:02

サッカーの試合中の悲劇をどう防ぐ?プレミア“ムアンバの奇跡”を検証する。<Number Web> photograph by AFLO

ムアンバの無事を願う多くのメッセージが寄せられた。ボルトンのサポーターに限らず、他チームのファンや選手も、ムアンバへの祈りをユニフォームに込めた。

事故を未然に防ぐためにリーグは医療基準の向上を公約。

 ムアンバが今季開幕前に心臓の検査を受けていたように、完全はあり得ない。だが、命にかかわる問題なのだから、万全を期すに越したことはない。報道によれば、心臓検査に要する費用は、選手1人当たり250ポンド(約33000円)程度。週給にして1千万円を越す報酬を得る選手がざらで、監督解雇に伴う億単位の違約金も厭わないプレミアリーグ勢の金銭感覚からすれば、取るに足らない出費だ。各クラブには、より厳格な健康診断基準が適用されるべきだろう。

 当面は集中治療体制が続くムアンバは、これから回復への長い道のりを歩むことになる。クラブは無期限の復帰サポートを約束している。ボルトンには、2年半ほど前、重傷後のカムバックに苦しむ選手との契約を延長した前例がある。医療面での事後サポート体制は、トップレベルにある現在のプレミアリーグ。今後は、選手の命にかかわる事態を未然に防ぐために努力しなければならない。

 ムアンバが意識を取り戻した翌日、リーグは医療基準の更なる見直しを公約した。

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