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一番時計でテストを終えたロータス。
ライコネンの完全復活はあるのか?
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2012/03/09 10:30
バルセロナのカタロニア・サーキット。3月上旬の最終テストでロータスのニューマシン「E20」を走らせるキミ・ライコネン。フェラーリやケータハムらのマシン同様、ノーズが高い位置にあり、途中に段差がついているマシンとなった。
開幕前の最後のウインターテストがスペイン・バルセロナ郊外にあるカタロニア・サーキットで4日間行われた。
このテストで大きな注目を集めたチームがある。
それは今年から「ロータス・ルノー」から「ロータス」に改名された、ルノーの血を引くイギリスのチームである。
このウインターテストでロータスが注目を集め続けた理由は3つあった。
ひとつは、かつてF1界を賑わした元ワールドチャンピオンが復帰したこと。2007年王者のキミ・ライコネンだ。'09年限りで一旦、F1を離れたライコネンは、その後ラリー界に転身していたが、3年ぶりにF1界へのカムバックを果たしたのだ。
なぜ元ワールドチャンピオンはロータスで復帰することになったのか?
ライコネンの復帰にF1界も最初は驚いたものの、すぐに冷ややかな目で見るようになった。それは'10年に4年ぶりにF1に復帰したミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)が、復帰後2年を経過しても、いまだ勝利を挙げるどころか表彰台にも上がっていないことがあるからだ。
元スタードライバーの復帰先が昨季散々の成績だったロータスだった、という点も期待をかけ難い要素のひとつだ。
ロータスの前身であるロータス・ルノーの昨年のコンストラクターズ選手権は、トップ4から大きく引き離されての5位。しかもシーズン後半戦はポイント獲得もままならず、フォース・インディア、ザウバー、トロ・ロッソの後塵を拝することも少なくなかったほどのチームだったのだから。
'12年のウインターテストが解禁されたスペイン・ヘレスでのテスト初日に、ライコネンがマークしたトップタイムに対しても周囲が冷静だったのは、そんな見方も関係しているのだろう。いわゆる、「メディアの注目を集め、スポンサー獲得のための一時的なパフォーマンスに過ぎない」と、見られていたのである。