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一番時計でテストを終えたロータス。
ライコネンの完全復活はあるのか? 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2012/03/09 10:30

一番時計でテストを終えたロータス。ライコネンの完全復活はあるのか?<Number Web> photograph by Getty Images

バルセロナのカタロニア・サーキット。3月上旬の最終テストでロータスのニューマシン「E20」を走らせるキミ・ライコネン。フェラーリやケータハムらのマシン同様、ノーズが高い位置にあり、途中に段差がついているマシンとなった。

急にテストを切り上げ本国に帰ってしまったロータス。

 注目を集めた2つめの理由は、そんな不安定なチームが2度目の合同テストをわずか7周で切り上げ、テストをキャンセルしたからである。

 2度目の合同テスト初日の2月21日、マシンに構造的な問題を発見したロータスは急きょテストを中止。イギリス・エンストーンのファクトリーへ帰ってしまったのだ。

 今年のウインターテストは2月上旬のヘレスと2月下旬のバルセロナ、そして3月上旬のバルセロナと3回しかない。最後のテストが始まる3月1日までは、10日間しかない。果たして問題が解決するのかどうか。皮肉にも、みんなの前から姿を消したことが、多くの人々から再び注目を集めるきっかけとなったのである。

わずか10日間でマシンを仕上げ、トップタイムを連発!?

 そして3つめの理由は、最後のテスト初日にあった。

 カタロニア・サーキットには合同テストに参加するロータスの姿があった。そして、このテストでロータスはまたも注目を集めることとなったのである。

 それは元ワールドチャンピオンのカムバックでもなければ、トラブルに見舞われてテストをキャンセルしたからでもない。最後のテストでF1関係者がロータスを注視していたのは、依然として彼らがコース上でもっとも速かったからである。

 4日間行われた最後の合同テストで、ロータスはなんと3日間トップタイムを叩き出したのである。この快走にはライバル勢も目を見張った。何しろロータスの速さは一発だけでなく、ロングランでも安定していたのだから。

 この状況を見ていたあるジャーナリストは「'09年のブラウンGPを彷彿とさせる」と語っていたほどだった。

 '09年のブラウンGPは、前身のホンダが撤退したために参戦が危ぶまれていた中、ウインターテスト終盤になってようやく合流するや否や、トップタイムを連発したものである。

【次ページ】 往事を彷彿する快走で不安説を一蹴したライコネン。

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