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モウリーニョ2世になるはずが……。
ビラスボアスがチーム不振で崖っぷち。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/02/29 10:30

モウリーニョ2世になるはずが……。ビラスボアスがチーム不振で崖っぷち。<Number Web> photograph by AFLO

ダニエル・スタリッジに強い口調で指示を伝えるビラスボアス。人心掌握は得意分野だったはずだが……。戦術の浸透を待てる残り時間は確実に短くなってきている

アブラモビッチの頭の中には既にベニテスの姿が!?

 もっとも、全てはロマン・アブラモビッチ次第。

 監督更迭を繰り返してきたオーナーにも、ビラスボアスの早期解任は避けたがっている節がある。不振を見かねて練習場に日参した2月上旬にも、指揮官ではなく、選手たちに厳しい言葉をぶつけたと言われる。だが、バーミンガムとの再戦と、格下相手のプレミア3連戦で、FAカップ優勝の望みを絶たれ、リーグ4位での来季CL出場も危うくなれば、第2レグを待たずにオーナーが辛抱し切れなくなっても不思議ではない。

 巷では、ラファエル・ベニテスの暫定監督就任が噂されている。

 代理人は接触を否定しているが、一方では、最短でも来季末までの契約を望んでいるとも言われる。ベニテスは、オーナーが切望するCL優勝の実績を持つが、指揮官としての持ち味は、敵の長所を消して結果を出す戦術。ゴール欠乏症に喘ぐフェルナンド・トーレスが、カウンターのフィニッシュ役として得点を重ねた、ベニテス下でのリバプール1年目の姿を取り戻すかもしれないが、チームとして、アブラモビッチが描いているとされる“青いバルセロナ”の理想像に近づくことはできそうにない。

 オーナーは、どこまで痛みに耐えられるのか? 

 ロシア人富豪が側近に「ニェット(ノー)」と漏らした瞬間、チェルシーの今季は、単に苦痛を味わっただけのシーズンになってしまう。

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アンドレ・ビラスボアス
チェルシー
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