スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
東洋、駒澤、早稲田が競る箱根駅伝。
“山の神”柏原は有終の美を飾れるか。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byShigeki Yamamoto
posted2012/01/01 08:02
昨年の往路優勝の時の柏原竜二。惜しくも復路で早大に負け、総合優勝をさらわれたが、大学最後の年となる今年にかける意気込みは尋常ではない
4区終了時点で東洋大が駒大に先行していれば……。
しかし東洋大にも思惑がある。
4区までに首位に立つ、というプランだ。つまり、柏原は誰も抜く必要がない状態。
あながち、夢物語ではない。
往路での起用が予想される、共に2年生の悠太と啓太の設楽兄弟が流れに乗った走りを見せれば、そのチャンスはある。
もし、4区終了時点で東洋大が駒大に先行するようなことがあれば、東洋大が絶対的な主導権を握ることになる。
1月2日の天候が悪ければ「山の神」が有利に!?
駅伝では気象条件もレースに大きく影響を与える。
酒井監督は、その影響を次のように話す。
「気象条件がよければ柏原は1時間16分台で走ると思います。ただ、そうなると他校の選手もタイムを上げてきますよね。1時間19分台の選手が複数出るかもしれません。でも、気象条件が悪ければ全体的にタイムは落ちるでしょうが、それでも柏原は1時間17分前後で走るでしょう。ひょっとしたら、気象条件が悪い方がウチとしてはタイム差をつけることができるかもしれません」
雪が降るような悪コンディション、もしくは気温が上がり選手に消耗を強いるような気候になれば、東洋大のチャンスが広がるということだ。
1月2日、箱根山中の天気は勝敗を大きく左右するだろう。
前回優勝校の早大、「大駆け」大迫傑は何区を走る?
そして気になるのが前回優勝の早大だ。
駅伝シーズンに突入する前は、東洋大、駒大、早大の3強と見られていたが、出雲、全日本ではともに3位とふるわなかった。しかし往路で主導権を握ってしまえば、そのまま押し切れるだけの陣容を持っている。問題は、調整がどれだけうまくいっているかどうかにかかってくる。
前回、1区で「大駆け」して優勝に大きく貢献した大迫傑(2年)がまた1区を走るのではないか? と他校の監督は警戒しているが、渡辺康幸監督は「今回、それはありません」と話す。