フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
NHK杯の日本人選手たちを徹底検証。
浅田真央がガラっと変わって成長中!
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2011/11/14 13:50
「(シーズンの)初戦から落ち着いて滑ることができたのは本当に久しぶりです」と、大会終了後、明るく答えた浅田真央。国内外のメディアからは、その精神面での成長ぶりで高い評価の声が上がった
鈴木明子が世界のトップクラスとして認められた理由。
一方、2009年中国杯以来2シーズンぶりにGPタイトルを手にしたのは鈴木明子だった。念願だった五輪出場がかなった後、アマチュア引退を考えた時期もあったのだという。
「でも長久保先生とよくコミュニケーションをとって、毎日の練習から楽しみながら滑ることを目標にして気持ちを切り替えた」と語った。
フリーでこそいくつかジャンプミスが出たものの、SPでは試合でやるのは初めてという3+3のトウループコンビネーションをきれいに降りた。5コンポーネンツもスケートカナダでは6点台と7点台だったのに、フリーではスケーティング技術で初めて8点台をマーク。ほかもすべて7点台後半を得て、特にインタープリテーション(音楽の解釈など)で7.96という高い点が出た。この点数は、国際ジャッジは彼女を世界のトップレベル選手として改めて認知したというメッセージに他ならない。
26歳にして尽きることのないチャレンジ精神を持つ彼女の次の舞台は、今回の優勝で出場権を手にしたGPファイナルとなる。
パトリック・チャンと戦う準備がようやく整ってきた高橋大輔。
札幌の高橋大輔は、スケートカナダのときとは別人のようだった。
わずか2週間前には、まだ新しいプログラムに対する戸惑いが見え隠れしながら滑っていたSPとフリー。そのどちらをもがっちりと滑り込んで仕上げ、ジャッジを前に「どうだ!」とばかりに演じて見せた。
その高橋に、ジャッジは惜しみない得点を与えて応えた。
SPでは90.43という自己ベストスコアを獲得。彼がSPで90点以上を出したのは、バンクーバー五輪以来のことである。
「あそこまで高い点が出るとは思わなかった」
本人はそう謙遜するが、この日の高橋の演技は入神の出来と言ってもおかしくない、完成された芸術作品だった。4回転を跳ばなくても、あれだけの質の高いものを見せてくれれば結果はしっかりついてくるということを、身をもって証明してみせた。
フリーのブルースは、実はもともと苦手意識があったのだという。
「ジャズは滑ってみたかったけれど、ブルースは避けてきた」と本人は苦笑する。
だが札幌で見せた滑りは、カナダのときよりさらに音楽に乗り、動きの一つ一つがしっかりと自分のものになっていた。5コンポーネンツのうち、パフォーマンス、インタープリテーション、コリオグラフィー(振付)の3つで、シングルではめったに出ることのない9点台を得た。GPファイナルで当たるであろう、現世界チャンピオンのパトリック・チャンと戦っていくために、この5コンポーネンツの9点台はとても重要な武器になる。