ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
香川の俊足がバイエルンを捉えた!
混戦を演出するドルトムントの快進撃。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byDaisuke Nakashima
posted2011/11/12 08:01
第12節のヴォルフスブルク戦にフル出場した香川は、1得点2アシストの大活躍
長谷部が完敗を認めた、ドルトムントの破竹の勢い。
しかも、バイエルンは現在2位から4位につけている3チームとは、シーズン後半戦にアウェイゲームを戦うスケジュールになっている。後半戦になって勝ち点を落とす可能性は大いにある。
バイエルンの追撃体勢に入ったと言えるのが、ドルトムントだ。最近5試合で4勝1分。とくに最近のホーム3試合では、4-0、5-0、5-1と圧倒的な強さを見せている。圧巻だったのは、11月5日、5-1で完勝したヴォルフスブルク戦だ。試合後にヴォルフスブルクの長谷部はこんな感想をもらしている。
「一人ひとりの選手の能力も、チーム力も、差があり過ぎる」
『ビルト』紙はこの節のベストイレブンに香川を始め、11人中8人をドルトムントから選んだ。それほどまでに評価されたのは、ここに来て、ドルトムントの特長がよく表れているからだ。
「チームとして攻撃の形ができて来た」と香川は語る。
ドルトムントの強みは、強烈なプレッシングとそれを可能にする運動量、そして、攻守の切り替えの早さにある。ヴォルフスブルク戦では前線の高い位置からプレッシャーをかけ、ボールを奪ったり、相手のミスを誘うシーンが目立った。実際、選手の総走行距離は相手チームよりも9.1kmも長い120.3kmを記録した。この試合での2点目となる香川のゴールも、4点目のレバンドフスキのゴールも、ボールを奪ってから約5秒で決めたもの。守備から攻撃への素早い切り替えなくして、生まれることのなかったゴールだ。
この試合で1ゴール、2アシスト、両チーム最長となる12.93kmを駆け抜けた香川は、『キッカー』誌や『ビルト』紙をはじめとしてあらゆるメディアでベストイレブンに選ばれ、最高評価となる1点をつけられた。本人も手ごたえを噛みしめている。
「今日の後半の出来は今シーズン一番だった。ここにきて、やっとチームとして攻撃の形ができて来た」
シーズン序盤につまずいた際にも、戦い方に手を加えるのではなく、選手のメンタル面を刺激して、チームとしての強みを思い出させるように説き続けてきたクロップ監督の想いが実りつつある。調子を落としているバイエルンとは対照的だ。