野球クロスロードBACK NUMBER
なぜソフトバンクで成功したのか?
CSでも打ちまくる、内川聖一の矜持。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/11/04 11:40
CS初戦を勝利で飾ったヒーローは、お立ち台に上って郷里の大分弁で「あとふたつ、勝つけんの~」と絶叫。過去1度もCSを突破したことのないソフトバンクだが、この内川の勢いでジンクスを吹き飛ばしそうだ
求めていた……全員で“勝利への意識”を共有すること。
内川の選択は、結果的に正しかった。
今のソフトバンクには、勝利への飢えが深く根付き、選手個人の意識も高いからだ。
'04年から6度もプレーオフに進出しながら、一度も日本シリーズ出場を果たしていない現実。そして昨年、優勝しながらも3位チームに敗れた屈辱。だが今季は、内川とソフトバンクが共有する積年の思いが、絶妙なバランスで化学反応を起こし、リーグ連覇とCS初戦の勝利に繋がった。
「僕は、『内川だけは絶対に抑えたい』と相手ピッチャーに言われるようなバッターになりたいんです」
他球団の選手たちに「穴がない」と言わしめた内川は、強いチームの主軸となったことで、紛れもなくマークされる打者となった。
日本シリーズまであと2勝。「絶対に打たせたくない男」の真価が問われるのは、厳しい戦いが続くこれからだ。