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<最強のクライマーの「山」論> ギリギリボーイズ・天野和明 「いつもギリギリです」 

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松山梢

松山梢Kozue Matsuyama

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photograph byAsami Enomoto

posted2011/08/26 06:00

<最強のクライマーの「山」論> ギリギリボーイズ・天野和明 「いつもギリギリです」<Number Web> photograph by Asami Enomoto
「なぜ登るのか?」「そこに山があるからだ」は昔の話。
山ガールからクライマーまで山を愛する3人が自分なりの
楽しみ方を紹介する“私の「山」論”。
今回は、登山ユニット「ギリギリボーイズ」のメンバーであり、
普段はICI石井スポーツに勤務する天野和明さん。険しい高峰を
最小限の装備で登る「アルパインクライマー」が語る山とは――。

 名だたる世界の高峰を少人数かつ最小限の装備、そして冒険的なルートで挑む「アルパインスタイル」で登攀に成功している若手クライマー集団、「ギリギリボーイズ」。2009年にはインド北部にあるカランカ峰北壁を初登攀し、先鋭的な登山に対して与えられるフランスの「ピオレ・ドール」を受賞した。今や世界から最も注目される日本人クライマーとなったメンバーの天野和明に、未経験者には理解しがたいマニアックな登山スタイルと、彼らの考える独自の美学を教えてもらった。

◇    ◇    ◇

 よく「ギリギリボーイズにはどうやったら入れるんですか?」と聞かれるんですが、チームがあるわけではなく、親しい若手クライマーたちが一緒に山に行くときに“申請用”に使う単なる名称なんです。元々は山田達郎と佐藤祐樹のふたりが、ニュージーランドのクック山に登るために必要に迫られて付けたのが始まり。昔のアイドルグループ“ギリギリガールズ”も影響していますが(笑)、ギリギリというリミット感が、ハードな登山スタイルとうまくリンクしたのかもしれません。

衛星電話や天気予報の使用にも賛否両論が。

 僕たちが目指すのは“美しい”アルパインクライミング。山を登るルートがすごく重要です。誰も登ったことのない難しいルートを、いかに岩や自然にダメージを与えず一直線に、ダイレクトに山頂に向かっていけるかが理想。そのルートを探せるかどうかは、感覚的なセンスが物を言うんです。

 アルパインクライマーにとって、衛星電話や天気予報の使用にも賛否両論があります。4年前にフランスの「ピオレ・ドール」にノミネートされたヨーロッパの登山家は、8000m峰に衛星電話を持って行ったことで「冒険的なアルパインスタイルではない」と非難されたんです。ただこの3~4年で状況も変わってきていて、「危険に直面したときに助けを呼べる手段があるのは悪いことではない」と、世界的にも少しリベラルになってきています。

【次ページ】 ハイキングの爽やかさとは全く違う、強烈な達成感。

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