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「3-4-3」システムの思わぬ効用。
ザックジャパン、韓国に歴史的大勝。
 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byNaoya Sanuki

posted2011/08/11 11:50

「3-4-3」システムの思わぬ効用。ザックジャパン、韓国に歴史的大勝。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

後半10分には、パスを受けた清武が、それをグラウンダーのクロスでゴール前へ返したところを右足でシュートし、2点目を決めた香川真司。この日は、2得点以外のシーンでもたびたび得点機を作って日本代表の10番のイメージを印象づけた

 歴史的な勝利であった。

 ライバル韓国を相手に3ゴール以上のスコアで勝ったのは、A代表では1974年の日韓定期戦以来、実に37年ぶりだという。

 日韓戦というのは両国にとって特別な意味を持つ。その意味を理解したうえでザックジャパンの面々は激しくファイトし、勝利にこだわってプレーした。フィジカルやメンタルの強さは、韓国の十八番であるはずだ。しかし、この札幌での日韓戦はフィジカル、メンタルにおいても日本がライバルを凌駕した。

「フレンドリーマッチとはいえ、これほど明らかな結果が出たことに非常に満足している。こうした結果が出た理由を述べるとすれば、チームが試合のスタートから集中力を保ち、自分たちがやるべきことをピッチ上で表現できたからだと私は思う」

 試合後のプレスカンファレンスでアルベルト・ザッケローニは開口一番、誇らしげにそう言った。

「流れを引き戻す力」こそ、ザックジャパン成熟の証。

 この日の圧勝劇は、何故生まれたのか。

 それは簡単に言えば、「流れを引き戻す力」ではなかったか。勝負の分水嶺は前半の攻防にあったように感じている。

 前半の立ち上がりは日本のペースで始まった。岡崎慎司が右サイドからゴール前に侵入し、切り返しからの左足のシュートがゴールをかすめた。岡崎の先制パンチが味方を鼓舞したかのように、続いて本田圭佑もシュートを見舞う。だが、これ以降は韓国の時間帯になり、クロスに頭で合わせられてヒヤリとさせられる場面もあった。

 ボールを韓国エリアに運ぶ出鼻を狙われ、肉弾戦となっていく。これまでならここから韓国のペースにずるずると引き込まれてしまうのがパターンなのだが、今回は違った。

 相手の時間帯では無理にパスをつなげようとせず、シンプルに縦を狙って押し返した。内田篤人も遠藤保仁も、長いパスで前線を走らせた。そして相手のお株を奪うような激しい守備から攻撃につなげようとした。全員の共通理解と実行力。これによって「嫌な時間帯」を短時間で抜け出すことに成功し、前半20分過ぎからは流れを完全にモノにした。

 シュートの雨を降らせる日本ペースのなかで、前半35分、高い位置でタックルからボールを奪った遠藤から李忠成にボールが渡り、ヒールパスを受けた香川真司がきっちりと決めた。

【次ページ】 「組織でも個でもウチのほうが勝っていた」(長谷部)

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