日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
「3-4-3」システムの思わぬ効用。
ザックジャパン、韓国に歴史的大勝。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/08/11 11:50
後半10分には、パスを受けた清武が、それをグラウンダーのクロスでゴール前へ返したところを右足でシュートし、2点目を決めた香川真司。この日は、2得点以外のシーンでもたびたび得点機を作って日本代表の10番のイメージを印象づけた
圧勝劇の中でも目についた課題とは?
W杯アジア地区3次予選のスタート(9月2日=北朝鮮戦、6日=ウズベキスタン戦)に向けて、弾みのつく勝利となった。U-22世代の清武が活躍し、チームの活性化という点においても収穫があった。ただもちろん、圧勝劇のなかにも課題はあった。
簡単にクロスを入れられてシュートを打たれてしまった場面など、クロスへの対処、空中戦の不安は拭えていない。試合の終盤はパスミスも多くなった。予選の厳しい戦いのなかではそれが命取りになるケースもあるだけに、細かい修正や気持ちの引き締めは必要になってくる。
韓国に最高の形で勝利したことをW杯予選にうまく結びつけないと、せっかくの「歴史的勝利」が台無しになってしまう。前回のコラムでも書いたが、Jリーグは過密日程のまっただなかにあり、コンディション調整の難しさも出てくる。勝って兜の緒を締めなければならない。
アジア全体にザックジャパンの充実を知らしめた一戦。
しかしながら、この日の札幌で見せたしたたかな戦いぶりはザックジャパンの充実、成長をアジア全体に知らしめる意味では非常に大きかった。
ウズベキスタン、シリア、北朝鮮の入った難しいグループに身を置く一抹の不安をかき消してしまうほどのインパクト。相手国はこの日本の戦いを見て、戦慄を覚えたに違いない。アジアの不動たるチャンピオンであることをここであらためて示せたことは予選の戦いにおいて、きっとプラスに働くはずだ。
初戦の北朝鮮戦まであと3週間。チームを束ねる長谷部の表情には、手ごたえの色が濃く見える。
「(北朝鮮は)しっかりと守ってくると思う。日本としては早く先制点が取れるかどうか。きょうのようなジャブじゃないですけど、(積極的にシュートチャンスを作って)自分たちの形でやっていければ、いつかはこじ開けられると思っています」
キャプテンは最後に、力強くそう言い切った。