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サイ・ヤング賞の行方とビッグフォー。
~覇権争いを左右する好投手たち~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byMLB Photos via Getty Images
posted2011/08/15 08:00
ナ・リーグ東地区首位を独走するフィリーズのエース、ロイ・ハラデイ
ナ・リーグではハラデイの2年連続受賞が有力だが……。
さてナ・リーグでは、なんといってもフィリーズ勢の圧倒的優勢が眼を惹く。ロイ・ハラデイ(15勝4敗、防御率=2.51)、コール・ハメルズ(13勝6敗、防御率=2.53)、クリフ・リー(12勝7敗、防御率=2.83)の3人。このまま進めばハラデイの2年連続受賞が有力だが、5完封を挙げているリーの爆発力は無視しがたいし、184奪三振でリーグ首位を走るクレイトン・カーショー(ドジャース、23歳)の若さも侮りがたい。
候補常連のティム・リンスカム(ジャイアンツ)や台頭著しいジャイール・ジャージェンス(ブレーヴス)は、ときおり乱調に見舞われるのがマイナス材料だ。
それにしても、ここで名前の出てきた投手は、カーショーを除いて全員が上位球団に属している。
ビッグフォーにサイ・ヤング賞候補が集中する。
ひるがえっていえば、現在ビッグフォーと呼ばれるフィリーズ、レッドソックス、ヤンキース、ジャイアンツには例外なく好投手がそろう。
8月第1週に行われた「強豪直接対決」では、レッドソックスがヤンキースに勝ち越し(2勝1敗)、フィリーズがジャイアンツを叩いた(3勝1敗)が、ポストシーズンに入れば状況はまた変わってくるだろう。
たとえば、ジャイアンツの反攻。まともに考えれば大駒を3枚そろえたフィリーズの優位は否みがたいが、マット・ケインやライアン・ヴォーゲルソンが好調を維持しているかぎり、勝負の行方はまだまだわからない。
もうひとつ、ナ・リーグの大穴は、希望的観測も含めてブルワーズだ。ザック・グリンキー、ヨバニ・ガヤルド、ショーン・マーカムの先発3本柱は、潜在的能力ならフィリーズやジャイアンツに負けていない。