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スタジアム命名権などで520億円!!
マンCが“聖地”を商品化した功罪。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2011/08/05 10:30

スタジアム命名権などで520億円!!マンCが“聖地”を商品化した功罪。<Number Web> photograph by AFLO

クリシーの他にも、アグエロなど今季も大きな買い物が続くマンチェスター・シティ。スタジアム命名権の代償として、果たして結果を出すことが出来るか

ファンに愛された「シアター・オブ・チップス」の最期。

 イングランドにおける命名権販売の先駆者は、1988年にホームを「マッケイン・スタジアム」と改名したスカーボロ。当時4部リーグに所属していたクラブは、スポンサー契約によって倒産の危機から救われたのだが、それでも、ファンは冷凍食品会社名をホーム名として口にすることを嫌った。英国人らしい自虐的なユーモアを発揮した彼らは、冷凍食品の主力がチップス(フライドポテト)であることを逆手に取り、「シアター・オブ・ドリームス」(マンUの本拠オールド・トラッフォードの異名)ならぬ「シアター・オブ・チップス」という、新たな呼称を好んで使い続けた。

 スカーボロは、'07年に借金苦の中で128年間のクラブ史に終止符を打った。今春、荒廃していた本拠の取り壊しが決定すると、地元紙やファンサイトには、「マッケイン・スタジアム」ではなく、「シアター・オブ・チップス」の最期を惜しむサポーターの声が寄せられた。「聖地」の名は、クラブの大切なアイデンティティの一部であるからこそ、商品としての価値も高い。今後も、スタジアム名を巡るエモーショナルな綱引きは続く。

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#マンチェスター・シティ

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