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3年の時を経て“帝王”がF1に帰還!
シューマッハーの復帰は成功するか?
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byREUTERS/AFLO
posted2010/01/08 10:30
アロンソが「F1史上最もスポーツ精神に反するドライバー」と過去に言い放っているが、果たして今回の復帰では誰とどんな名勝負を見せてくれるのか?
ではなぜシューマッハーは復帰を決めたのか?
シューマッハーがカムバックを決めた理由は、勝てる体制を持ったチームであることと、自分に相応しい居場所が提供されたためだろう。
昨年のフェラーリでは勝てないことはよく分かっていただろうし、仮に中途半端にカムバックしてライコネンにコテンパンに負けるようなことでもあれば帝王の看板に傷がつく。そこへいくとメルセデスGPは勝てるチームであるし、旧知でもある名将ロス・ブラウンがおり、なによりチームメイトのロズベルグが発展途上ドライバーであり、組み易い相手と考えたからではないか? レース復帰直後にロズベルグに負けても、3年間のブランクがあったといえばそれで済むはずだ。もっともあのシューマッハーのこと、絶対にロズベルグには負けないと思っているだろうが。
復帰3年後にタイトルを奪い返したニキ・ラウダの姿が重なる。
実は今回のシューマッハーのような例が過去にもあった。
1982年、3年の沈黙を破ってマクラーレンからカムバックした“鉄人”ニキ・ラウダである。
フェラーリで2回世界タイトルを奪ったキャリアは伊達ではなく、復帰3年後の1984年に見事3度目のタイトルを奪取。翌85年、チームメイトのアラン・プロストが初タイトルを奪うや今度は完全に引退。しかし引退したその年にも1勝を挙げるほどの腕前だった。
そのラウダに教えを乞うたプロストも2年間の活動休止の後、1983年にウイリアムズから復活するやチャンピオンを奪って後にあっさり現役を引退した。シューマッハーも同じような道を辿るのではあるまいか。