Column from SpainBACK NUMBER
ヘタフェは輝きを取り戻せるか。
~リーガにおけるチーム成長物語~
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byJasper Juinen/Getty Images
posted2009/05/08 08:00
4月21日のレアル・マドリー戦で勝ち試合を落とし、続く26日のビジャレアル戦に敗れ、降格圏まであと1ポイントとなったところで、トーレスは遂に自身の過ちを認めた。
「今シーズン、我々は経験と守備をもって変わろうとしたが、全てが裏目に出た。今季はかつてないほど失点している」
そして、残り5節というところで監督を替えた。リリーフに立てたのは、80年代半ばから90年代初めにかけてレアル・マドリーで一時代を築いたスター、ミチェルだ。
安定を捨て、ふたたび野心的なサッカーへ
彼のプロフィールは例の3人に似ている。監督経験は2部B時代のラヨ・バジェカーノと、2部時代のレアル・マドリー・カスティーヤ(サテライト)をそれぞれ1年ずつだけ。持ち前のスタイルは、シュスター風のサイドアタッカーを使った攻めのサッカー。
「残留を狙うには、良いプレーをするのが一番。自分からボールを求めていけば、1部に残れる可能性は高まる」と考えるトーレスが彼を選んだのは自然だろう。
ヘタフェとミチェルの契約は今季の残り5試合のみ。ミチェルに課せられた仕事は、ただチームを降格から救うことである。
上位陣との連戦が終わっていることを考えると、ミチェルは任務を全うするに違いない。それより、気になるのはその後だ。
昨季までのヘタフェはリーガで最も将来性あるクラブのひとつだった。
来シーズン、元いた道に戻り、再び筋を通していくのであれば、ヘタフェはまた長期的な注目に値するクラブとなる。数年のうちにセビージャやビジャレアルのようになるかもしれない。
それから、ミチェルの未来。この5試合で自分の道を切り開くのか。彼が一から作り上げたチームをぜひ見てみたい。バルセロナのグアルディオラの成功を目の当たりにしているレアル・マドリーファンの反応も楽しみだ。