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松井秀喜とアトリー。
ベーブ・ルースと肩を並べる好記録。 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2009/11/11 10:30

松井秀喜とアトリー。ベーブ・ルースと肩を並べる好記録。<Number Web> photograph by Getty Images

渡米7年目で、もちろん日本人初の栄誉を獲得

“ヤンキース愛”を訴える松井の去就は?

 ただ私は、松井の復活にはもうひとつ大きな理由があったのではないかと思う。ポイントは膝だ。もしかすると松井の膝は、周囲の予想をはるかに超えるスピードで回復していたのではないか。ありきたりの結論に聞こえるかもしれないが、第2戦で低目の変化球をとらえた本塁打にせよ、第6戦で8球目まで粘った末、右翼二階席(コマツの広告看板に命中したのが笑わせる)へ運んだ一発にせよ、下半身の粘りがあってこその結果だった。いや、その前にも下半身を残してタメを作った例があった。第3戦、フィラデルフィアで代打に立った松井は、実に久しぶりに左翼への本塁打を放っていたではないか。

 いずれにせよ、シリーズMVPの受賞で、今季でヤンキースとの契約が切れる松井の去就は俄然わからなくなった。松井はニューヨークへの愛情を切々と表明しているが、冷徹な管理職のキャッシュマンGMは、果たして松井の愛情に応えるだろうか。ちなみに先ほど触れたリチャードソンは、MVP受賞後も6年間ヤンキースに残留しつづけ、名脇役としての働きをまっとうしている。

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