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中島裕之の“飛ばさない技術”。
~天才的打撃の神髄~ 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2009/08/31 11:30

中島裕之の“飛ばさない技術”。~天才的打撃の神髄~<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

中島は2006年から三年連続で打率3割を達成。昨年はリーグ最高の出塁率.410を記録。WBCでも2番ショートとして活躍し優勝に貢献した。

右手の押し込みで飛距離を加減する中島の才能。

 中島の話に戻ろう。中島の打撃の最大の特徴は広角に強い打球が打てる点にある。

 昨年は21本塁打を放って、そのうちの約半分となる11本が中堅から右方向の打球だった。今季も右方向への長打が多く見られるのは、この右手の押し込みの強さの表れだった。

 そして宮本をして「天才」と言わしめる最大の特徴は、そのエンジンの出力を自由自在に操れる点にあるようだ。

「ゴルフのピッチングウエッジを打つ感覚ですね。フルショットもあるし、点で置いていくショットもある。そんな感覚で打席に立っています」

 右手の押し込みは飛ばすときだけに使うのではない。時には外野の守備位置までボールを飛ばさないように、その押し込みを加減する。

 このボールを飛ばさない技術こそ、中島が天才である所以なのかもしれない。

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