杉山茂樹のサッカー道場BACK NUMBER
大分トリニータの天国と地獄。
~クラブの身の丈に合った目標は?~
text by
杉山茂樹Shigeki Sugiyama
photograph byKYODO
posted2009/11/02 10:30
'08年ナビスコカップで優勝した大分トリニータ。リーグでも4位に躍進したが、今シーズンはリーグ最下位をひた走る
不景気の今、最優先事項はチーム存続。現実を見据えよ。
大分を見ていると、デポルに起きた数年前の出来事を思い出す。しかし、欧州と日本の事情がまったく同じわけではない。小さなクラブでも何とかなる社会が、まだ日本には存在している。年間予算で大分を数倍上回る浦和レッズの現状を見れば一目瞭然。上位の力も停滞している。番狂わせの主役になれるチャンスは十分にある。上を望みたくなる気持ちも十分理解できる。
だが、小であることに変わりはない。しかも、日本は未曾有の不景気だ。ひとつ間違えば消滅の危機にさらされる。ファンにとって最も悲しい事態が待ち構えている。それでも「日本一」や「世界」を目指すつもりなのか。やめたほうがいいですよ、と言いたくなるチームは、大分以外にもたくさんある。
自らのサイズに相応しい適正な順位とは。それより現状は上なのか下なのか。費用対効果は、Jリーグを眺めるもうひとつの視点だと僕は思う。