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ヴォルフスブルクが大改造の気配。
長谷部誠の去就はどうなる?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/06/05 08:00
今季は怪我で出遅れるも、リーグ戦23試合に出場。来季の去就が注目される
現在抱える選手の大半を放出しても不思議ではない。
ちなみに、'07-'08シーズン、マガト監督が初めてヴォルフスブルクにやってきてからの2年間で、チームの主力メンバーの大半を入れ替えている。
あるいは、'09-'10シーズンから指揮をとったシャルケでも、2年弱の間にGKノイアーとMFファルファンを除いて、ほとんどのレギュラーの顔ぶれが変わった。
過去の例にならえば、マガト監督が現在の選手たちの大半を放出しても不思議ではない。
また、ヴォルフスブルクの実質的親会社であるフォルクスワーゲン社にとっても、新たな選手を獲得する資金を捻出するのは難しいことではない。ヴォルフスブルクは、ドイツではバイエルンに次ぐ資金力を持つクラブだ。
そして、同社とマガト監督は強いきずなで結ばれている。
マガト監督がその人間性を高く評価する長谷部誠の動向は?
そんな中、気になるのは、移籍が噂される長谷部誠の動向だ。
ボランチとサイドのMF、サイドバックを高いレベルで務めるオクスは降格したフランクフルトを離れ、来季からはヴォルフスブルクでプレーすることになった。また、タイプこそ違うが、ポジション適正としてはオクスにそっくりな、シュツットガルトでプレーするドイツ代表のトレシュも、現在はヴォルフスブルクが狙っているという。トレシュの加入が決まれば、ポジションの重なる長谷部の去就にも何らかの影響があると思われる。
ただ、一つだけ考慮すべきポイントがある。マガト監督が長谷部の人間性を高く評価している点だ。シャルケ監督時代、同じ日本人の内田篤人獲得をめぐり、「私は長谷部の例から、日本人の資質を理解、評価している」という趣旨のコメントを何度も残している。
結局のところ、移籍問題は長谷部の意思にもかかわってくるだろう。どんなときでもチームに全力で貢献しようとする長谷部は、その人間性をマガトから高く評価されている。後は長谷部がマガト監督の目指すサッカーにやりがいや喜びを見出すかどうか。そこに去就の鍵はありそうだ。
いずれにせよ、来シーズンの開幕の日に'08-'09シーズンの優勝メンバーの大半がいなくなっていても不思議ではないし、驚くことではない。