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ヴォルフスブルクが大改造の気配。
長谷部誠の去就はどうなる?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/06/05 08:00
今季は怪我で出遅れるも、リーグ戦23試合に出場。来季の去就が注目される
優勝した当時から埋まっていない、選手と監督との溝。
チームが優勝した'08-'09シーズン終盤から、選手たちとマガト監督の間には大きな溝が存在していた。そして、当時の選手の多くは今季もチームに在籍している。
'08-'09シーズンの終盤戦で、マガト監督がリーグ戦を直後に控えているのにもかかわらず、理不尽なほどの走り込みを命じたことがあった。鬼軍曹の異名をとるマガトらしいやり方だ。
しかし、このときは「理不尽なトレーニングで疲労すると、直後の試合に影響が出る」と選手たちが束になって反発。ピッチ上で、選手たちとマガト監督による話し合いがもたれた。選手が個別にマガト監督に刃向かえば、干されてしまう。しかし、選手たちが束になった場合、彼らを一斉に干すことは出来ない。試合が成立しなくなるからだ。つまり、当時の選手たちは、鬼軍曹に対してストライキを行なったのだ。
GM職も兼務することで選手の人事権も掌握するマガト監督。
ピッチ上で選手たちの反発を受けたマガト監督は、「このことはチーム外の人間には言うな」と残して、この練習を終えてしまった。
同様のことは今シーズンも起こっている。
選手と対話して、練習の量を決める。合理的だ。しかし、対話をしたのは、選手とのコミュニケーションを重視するドルトムントのクロップ監督ではない。鬼軍曹のマガトなのだ。
ヴォルフスブルクではGM職も兼務することで、選手たちの人事にも影響力を持っている。それは当時も、今も変わらない。
しかし、選手たちが束になったことで、マガトは選手たちの要求を飲まざるをえなかった。強権を武器に、厳しい練習を課すマガトにとって、自分の言うことを聞かない選手を抱えるのは屈辱的だ。