カンポをめぐる狂想曲BACK NUMBER
From:コートダジュール
「スポーツ選手の健康管理。」
text by
杉山茂樹Shigeki Sugiyama
photograph byShigeki Sugiyama
posted2007/09/05 00:00
大阪で行われていた世界陸上にも、危険な匂いはプンプンしていた。この時期の日本の気候は、スポーツをする常識的な気候と、著しくかけ離れている。そんな中で、マラソンや競歩は行われた。大丈夫なのかと心配だった。
こちらから、テレビを通して世界陸上の模様を見ていたので、なおさらそうした思いを強く抱いた。モナコやニースがあるコートダジュールは、夏を実感させてくれるリゾート地。海水浴場には、観光客がわんさか繰り出している。身体の隅々まで焼こうとトップレス姿を披露するイケてるお姉さんの姿も、簡単に発見することができる。でも暑くない。死ぬほどは。
ミラン対セビージャの試合を観戦する僕の出で立ちは、長袖だった。半袖シャツの上に、ニットのサマーセーターをふわりと羽織っていた。それでも涼しさは十分に実感できた。
欧州は季節の変わり目が、日本より早いことも輪を掛けているのかもしれない。秋は、一足早く到来する。オーストリア、スイスと親善試合を行う日本代表は、間もなくクラーゲンフルトに向かうが、現地は秋本番、いやアルプスの麓なので、もはや中秋から晩秋の陽気だろう。サッカーにはうってつけの気候が、彼らを待ち受けている。アジアカップにはたっぷりあった暑さという言い訳が、今回の遠征にはない。大丈夫か、オシム・ジャパン?
コートダジュールからバルセロナに戻る帰路、助手席に座るナビゲーターとして、注意しなければならない点が1つだけあった。途中のインターチェンジで、リヨン方面に向かわないことである。僕は昨年もSが運転する車に、帰路だけ同乗させてもらったが、真西に向かわなければいけない車は、気がつけば真北を向いて走っていた。「しりとり」に夢中になっていると、それまでモンペリエ、バルセロナだった進行方向の表示が、リヨンに変わっていたのだ。アルプスの山々が、迫ってくる風景を見て、初めてしりとりを辞め、誤りに気づき愕然とした前科がある。
だが今年は、僕たちはリヨンに向かっているべきだったことに後になって気がついた。欧州スーパーカップが行われた翌日、リヨンでは対ルマン戦が行われていたのである。ここまで来ていながら、松井選手の試合を見逃すなんて。しかも相手はリヨン。フランス最強のクラブチームだ。アホ丸出しとはこのことである。松井選手ごめんなさい。クラーゲンフルトには、間違いなく駆けつけますので……。