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日本代表が目指すべきもの 

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小尾慶一

小尾慶一Keiichi Obi

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photograph byTomoki Momozono

posted2006/08/18 14:33

日本代表が目指すべきもの<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

 トレーニング期間は、終わった。いよいよ本番、世界選手権の夏が始まる。

 最後の調整となった13日のセネガル戦、日本代表は最終メンバー12名(*)で試合に望んだ。ミスの多い荒れた展開の中、セネガルの得点源マレイ・エンドイの活躍で、日本は10点差をつけられて前半を終える。第3クォーター終盤、桜井のバスケットカウントをきっかけに、川村の3ポイント、古田のフリースローなどで一気に追い上げ、一時は同点に追いつく。その後に再び突き放されたものの、五十嵐、柏木、山田らの得点で、残り20秒足らずで2点差に。だが、土壇場のパスミスが響き、最終的に60-62で敗れた。

 調整試合に、勝敗は関係ない。シュートの調子が悪い中(FG率30.3%)、最後まで集中力を切らさず、得意のディフェンスで相手を追い詰めたのは、大きなプラスだ。ただ、セネガルのチーム状態が悪かったことを考えると、手ごたえを感じた、と言い切ることはできない。

 「セネガルはベストメンバーではなかったですね」と倉石平は言う。一昨季までJBLでヘッドコーチを務めていた倉石は、日本協会に派遣され、各地のゾーン予選を観戦している。当然、セネガルのチーム事情にも詳しい。「しかも、彼らは、接戦になるとゾーンディフェンスをするはずなんですよ。今日は、1回もゾーンをやりませんでしたからね」

 確かに、セネガルは、主力選手が相次いで代表入りを辞退。NBA選手は、1人も参加していない。新ヘッドコーチを迎えたばかりでもあり、チームとしての体制は整っていなかった。予選ラウンドのアンゴラ戦を想定した試合だったわけだが(アンゴラとセネガルはともにアフリカ勢)、アンゴラの実力は、先日のセネガルと比べ物にならないだろう。

 そして、日本代表がファイナルラウンドに進むには、このアンゴラに勝利することが絶対条件になる。

 「狙うのは、アンゴラとパナマです」とヘッドコーチのジェリコ・パブリセビッチ。最低でも2勝をあげなければ、グループリーグ突破は果たせない状況だ。「仮に、ドイツとスペインのような強豪国にひとつ勝てたとしても、アンゴラとパナマに確実に勝てなければ、さいたま(で行なわれるファイナルラウンド)には進めません」

 とは言え、もともと不利は承知の上だ。ジェリコの元で3年半トレーニングを積み、日本代表は大きく力を伸ばした。しかし、それでも、世界の壁は高く、ぶ厚い。どのチームにも、NCAAディビジョンIや欧州名門チームでのプレー経験を持つ選手がいる。もちろん、現役・元NBA選手も多い。そうした選手がいないのは、日本だけである。

 「われわれの気持ちはひとつ」とジェリコは言う。「奇跡を起こして、ベスト16を目指します」

 そのために必要なのは、守備を徹底してロースコアに持ち込むこと、折茂と川村の外角シュートが高確率で決まること、竹内兄弟がダブルダブルを連発すること、五十嵐のドライブが冴え渡ること、エックスファクターの桜井が爆発すること。そして何よりも、チームがひとつにまとまること。

 困難なミッションであることは確かである。だが、こうした“奇跡”は、多くの場合ホームチームが起こすもの。そして、日本初開催の世界選手権が、その“多くの場合”になる可能性は十分にある。

 

●PG 五十嵐圭(180cm・67kg 26歳)
節政貴弘(180cm・78kg 34歳)
柏木真介(183cm・78kg 24歳)
●PG/SG 桜井良太(194cm・75kg 23歳)
●SG 折茂武彦(190cm・77kg 36歳)
川村卓也(191cm・79kg 20歳)
●SG/SF 網野友雄(196cm・88kg 25歳)
●SF/PF 竹内譲次(205cm・93kg 21歳)
●PF/C 竹内公輔(205cm・90kg 21歳)
山田大治(200cm・105kg 25歳)
●C 古田悟(199cm・95kg 35歳)
伊藤俊亮(202cm・98kg 27歳)

 

[PG…ポイントガード、SG…シューティングガード、SF…スモールフォワード、PF…パワーフォワード、C…センター]

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