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摂食障害から見事復帰した鈴木明子。
フィギュアGPファイナルで夢を掴む! 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byKYODO

posted2009/11/29 08:00

摂食障害から見事復帰した鈴木明子。フィギュアGPファイナルで夢を掴む!<Number Web> photograph by KYODO

昨季の全日本選手権では浅田真央、村主章枝、安藤美姫に次いで4位の成績を残している

 10月にフランスでスタートしたフィギュアスケートのグランプリシリーズは、6大会すべてが終了。成績上位6名によって争われるグランプリファイナルが12月3日に始まり、総合優勝者が決まることになる。

 東京開催である。

 しかも今回は、表彰台に上がり、日本選手最上位ならバンクーバー五輪代表に内定することもあって、大きな注目を集める。日本からは、男子は織田信成、高橋大輔、女子は安藤美姫と、常連といってよい選手たちに加えて、初出場を果たす選手がいる。

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 鈴木明子である。

昨年のNHK杯でいきなり2位となり鮮烈なデビューを果たす。

 昨年、NHK杯に地元枠によって出場。これがグランプリシリーズ初めての挑戦となったが、いきなり2位となって鮮烈なデビューを果たす。

 すると今季は、初戦の中国大会で初優勝。カナダ大会ではショートプログラム8位と出遅れたが、フリーで巻き返し5位。ポイントランキングで6位に滑り込み、初のファイナル出場を決めた。

 昨シーズンからの経緯が物語るように、今、もっとも勢いに乗る一人といってよい鈴木は、現在24歳。早生まれだから学年的には中野友加里の1年先輩であり、安藤の3年先輩にあたる。それからすると、遅咲きのように思えるが、実はジュニアの頃から将来の日本代表候補として、高い評価を得てきた選手であった。

 経歴がそれを物語る。6歳でフィギュアスケートを始めた鈴木は、熱心に練習に取り組むと、瞬く間に頭角を現し、高校1年のときには全日本選手権で4位、さらに世界ジュニア選手権にも出場している。安藤らとともに特別強化選手にも選ばれてもいた。

将来を約束された有望フィギュア選手からの転落。

 ところが、あることをきっかけに事態は一変する。

 '03年のことだ。この年、生まれ育った愛知県を離れ、東北福祉大学に入学する。胸に抱いていたのは、オリンピックに出たいという思いだった。その夢を実現するための場として最善の道を選んだつもりだった。

 実家を離れ、初めて一人暮らしを始めた。学業と練習に打ち込むうち、いつしか体に変調を来たしていた。日々、やせ細っていったのだ。161cmの身長にもかかわらず、一時は体重が32kgにまで落ち込んだ。診察の結果は、摂食障害だった。

【次ページ】 自らに厳しすぎる性格がかえって自らを壊してしまう。

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