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摂食障害から見事復帰した鈴木明子。
フィギュアGPファイナルで夢を掴む! 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byKYODO

posted2009/11/29 08:00

摂食障害から見事復帰した鈴木明子。フィギュアGPファイナルで夢を掴む!<Number Web> photograph by KYODO

昨季の全日本選手権では浅田真央、村主章枝、安藤美姫に次いで4位の成績を残している

自らに厳しすぎる性格がかえって自らを壊してしまう。

 一人で暮らす中、鈴木は「自分で自分を厳しくコントロールしなければいけない」と、私生活でも競技面でも常に考えるようになっていた。体調管理のために、食事にも過剰に気を遣った。食事を摂ることのできない状態にまで自らを追い込むことになった。生来の真面目さが災いしたのだ。

 この年には、実はグランプリシリーズへの派遣も決まっていた。出場していれば、3年後のトリノ五輪への道も開けていたかもしれない重要なシーズンだった。だが、あきらめざるを得なかった。

世界選手権で戦う憧れの荒川静香を見て再起を誓う。

 実家に戻っての闘病生活が始まった。

 '04年、苦しい日々を送る中、テレビで世界選手権を目にする。そこには憧れていた荒川静香が金メダルを獲得した姿があった。

「私ももう一度」

 競技への気持ちが湧き起こってきた。

 やがて療法が功を奏し、栄養を摂ることができるようになり、競技にも復帰を果たしての今日である。  

 そんな苦労を経ての第一線復帰であるからこそ、鈴木は語る。

「(病気の前より)いろいろなことに前向きに取り組めるようになりました」

最終目標のバンクーバー五輪出場をかけて滑る!

 こうして迎えるグランプリファイナル。カナダ大会を、「今までは無心で滑っていたのに、今回はいろいろなことが意識に入ってきてしまいました」と悔やむ一方で、こうも語った。

「与えられたチャンスを、無駄にしないようにしたいです」

 最終目標は、バンクーバー五輪出場。滑ることのできない時間を過ごしたからこそ、滑る喜びを知る鈴木明子がどのような演技を見せるか。それもグランプリファイナルのみどころの一つだ。

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