青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
石川世代の独走にストップをかけろ!
片山晋呉ら“谷間世代”の逆襲。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAkihiro Sugimoto/AFLO SPORT
posted2011/05/15 08:00
石川遼の前に立ちはだかるはずだった2009年シーズンは、マスターズ4位の影響で燃え尽き症候群になり、シーズン0勝だった片山晋呉(写真右)。過去5回も賞金王に輝いた片山だが、石川の賞金王奪取に寄せたコメントは「別に誰が賞金王をとっても変わらない」というサバサバした内容だった
ゴルフは技術と経験がモノをいうスポーツ、と考えられてきた。
しかし、底辺の拡大と練習環境の整備、そして道具の進化は年輪を重ねることによるアドバンテージをどんどん小さくしていった。
その結果として若い選手の台頭が目立ち始め、日本には石川遼が現れた。そうした流れの中でここ数年、すっかり埋没してしまった選手たちがいる。肉体的な衰えはまだ小さく、ある程度の経験も積んでツアーの中核を担うべき世代。30代の選手たちである。
'08年こそ賞金ランク1、2位を片山晋呉と矢野東が占めたものの、'09年は10代の石川と20代の池田勇太にトップ2を明け渡した。昨年にいたっては賞金ランク上位10人のうち30代の日本人選手は8位の兼本貴司と9位の宮本勝昌だけという有り様だった。
昨シーズンの25試合で30代の日本人選手が勝ったのはわずか7試合。割合でいえば3割にも満たない。シード選手のほぼ半数が30代であることを考えれば、これがいかに少ないかが分かる。若い世代が完全にツアーを牛耳ってしまったのならあきらめもつくが、40代の藤田寛之や谷口徹らが存在感を示している分、あいだに挟まれた彼らへの物足りなさが余計に強く感じられたのだった。
高山忠洋、近藤共弘、片山晋呉……30代の逆襲がはじまった。
しかし、やっとというべきか、今季出だしの戦いを見ていると少し雰囲気が変わってきたのかもしれない。
開幕戦の優勝者は33歳の高山忠洋。
マスターズ帰りの石川を振り切っての優勝だった。
「遼くんは随所に出てくる闘争心がある。気合いの入った高いレベルのショットをしてくるので、それに応えようと思わされる。向こうの方が一枚も二枚も上手」
石川との力の差を認めつつも、その相手に勝った高山の優勝は、自らのポテンシャルにオフの努力をかみ合わせて生まれたものだった。