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カリスマ・ボクサーが復帰した理由。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

PROFILE

posted2004/11/04 00:00

 タイソン、デラホーヤ、ロイ・ジョーンズ……スーパースターが次々と惨敗を喫していく中、魅力的なアイドルが帰ってきた。中量級の3階級を制覇したフェリックス・トリニダード。10月2日ニューヨークでリカルド・マヨルガと派手な倒し合いを演じ8回TKO勝ち。長期ブランク明けの試合でこんな危険な相手を選ぶかとあきれたが、トリニダードはパワーにモノを言わせて“ニカラグアの怪人”をねじ伏せた。ほぼ会心の勝利を飾ったというのも凄い。

 デラホーヤに初黒星をつけたプエルトリコの天才は、'02年に引退後は再戦を望むライバルの再三の説得にも応じなかったが、それがなぜ今カムバックしたのか。ボクサーが再起するのはほとんどが「経済的理由」によるが、トリニダードの場合は異なる。「行く先々で“いつカムバックするんだ”と聞かれるのに飽き飽きして」決断したという。爆発的強打で人気の高いカリスマ・ボクサーの試合は、常に倒すか倒されるかのスリルをはらむ。今度のマヨルガ戦のように倒されても立ち上がり、逆に倒して勝つパターンも多い。アクション映画の乱闘シーンさながらの試合ぶりがファンに歓迎されないはずがなかろう。

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